野菜を食べることで無病息災を願う~大根焚きとかぼちゃ供養~
ふと気がつくと季節は移ろい、冬を間近にして肌寒さを感じるようになりました。
趣く先は近くのスーパーで、鍋に入れて煮込めばすぐ食べられるおでんを買い、ほっこりしながらつついていたのですが、大根を口にした際思わず知らず千本釈迦堂の大根焚きを思い出しました。
千本釈迦堂の大根焚きは、年末の風物詩として賑わっている様子がテレビでも毎年放送されています。しっかりと煮込まれた大根は、ほくほくとして見るからにおいしそうです。
(広告)中風除け、中風まじない、大根焚きとかぼちゃ供養
京都では、大根やかぼちゃといった野菜を食べることで無病息災を願う行事がならわしとしてあります。
今回、本格的な冬を前に大根焚きとかぼちゃ供養に焦点を当て、4つの寺院についてまちの人々の願いやどのようなことが催されているのかご紹介します。
大根焚きやかぼちゃ供養では、無病息災への願いが込められているのですが、具体的には中風除け、中風まじないが本質といえます。
中風は、ちゅうふう、ちゅうぶ、ちゅうぶう、ちゅうふと呼ばれ、現在の脳血管障害を意味し、脳出血や脳梗塞による後遺症とされています。
恐らく昔は、中風で倒れ死に至る人や半身不随や言語障害などのまひを患う人が多くおられ、健康でありたいと誰もが願ったのだと考えられます。
こうした不安に対して、日常的に食している大根やかぼちゃは中風にも健康にも良いと肌感覚で認識されていたのでしょう。
「大根どきの医者いらず」
大根の収穫どきにはみんなが等しく健康になり、医者がいらなくなるという意味です。大根はお腹の調子を整え、消化をよくするはたらきがあり、昔から体によいものとされてきました。
実際、大根は栄養価が高くビタミンC、毛細血管を強くするビタミンPが豊富で中風にかかりにくくなるとされています。
また、かぼちゃにはカロチンが多く含まれ、ビタミンC、ミネラルなどが含まれており中風にならないといわれてきました。
(広告)千本釈迦堂(大報恩寺)大根焚き・成道会法要
12月7日~8日に行われる 千本釈迦堂の大根焚きは、法要後に集められた大根を加持祈祷し、輪切りにして大鍋で煮込み参詣者にふるまわれます(供養料として1,000円)
三世慈禅上人が大根の切り口を鏡に見立てて、梵字を書き「悪魔よけ」とされたことに始まります。
〒602-8319 京都市上京区七本松通今出川上ル
レシピを見つけました!
鳴滝了徳寺 報恩講「大根焚」
12月9日~10日に行われる 鳴滝了徳寺の報恩講「大根焚」は、 親鸞聖人が師である法然上人の遺跡(愛宕山中の月輪寺)を訪れて鳴滝(京都市右京区)を訪れた際、村人が大根を煮て捧げたことに始まるとされています。
三つのかまどに大鍋をかけ青首大根を煮こんで参拝者にふるまわれます。(大根志納1,000円)
https://www.ryoutokuji.or.jp/%E5%A0%B1%E6%81%A9%E8%AC%9B-%E5%A4%A7%E6%A0%B9%E7%84%9A-%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
〒616-8242 京都市右京区鳴滝本町83
鹿ケ谷安楽寺 鹿ケ谷かぼちゃ供養
7月25日に行われる鹿ケ谷安楽寺の鹿ケ谷かぼちゃ供養は、中風除けに鹿ケ谷かぼちゃがふるまわれます。
江戸時代、真空上人が、夏の土用にかぼちゃを供養すれば中風にならないとの夢のお告げを受け、仏前に供えて供養し食したことに始まるとされています。(拝観料500円)
http://anrakuji-kyoto.com/anrakuji.html
〒606-8422 京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町21番地
矢田寺 かぼちゃ供養
12月23日に行われる 矢田寺のかぼちゃ供養 は、境内に大きなかぼちゃが飾られ、一年の無病息災が祈願されます。冬至にかぼちゃを食べると中風除けや諸病退散になるとされていたことから、先着1,000人の参拝者には無料で、甘く炊いたかぼちゃがふるまわれます。
https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=3801
〒604-8081 京都府京都市中京区三条上る天性寺前町523
大根焚きとかぼちゃ供養、いかがだったでしょうか。
いつの時代にも病に対する恐怖や不安はぬぐえないものですが、ふだんの暮らしや食の知恵から無病息災を願う気持ちは今も昔も変わらないといえるのではないでしょうか。