幕末の志士、坂本龍馬さんと中原慎太郎さんに鯖寿司をおすすめする京都幕末チャンネル
皆さまごきげんよう、
本日も京都幕末チャンネルのお時間がやってまいりました。
暮れなずむ幕末京都の昼下がり、尊攘、勤王、公武合体、多彩なゲストをお呼びして、好物でおもてなししながらゆるいおしゃべりをお届けする、幕末ボーダレスなこの番組、お相手はわたくし幕末京雀。
本日のゲストは、土佐からお越しの薩長同盟コンビ、坂本龍馬さんと中岡慎太郎さん！
坂本さん中岡さん、本日は有難うございます！ついにご登場とのことで、スタッフ一同めちゃくちゃ喜んでおります。
なお、通常は四条スタジオから生放送ですが、このたび用心のため京都某所にて極秘裏の収録でございます。さあ、それでは始めましょう。
(広告）坂本龍馬さん中岡慎太郎さん、脱藩って必要ですか？
さて改めてプロフィールからご紹介いたします。
坂本龍馬さん、中岡慎太郎さん。ともに土佐のお生まれ、龍馬さんが三つ年上。ともに武市半平太さんの土佐勤王党を経て、脱藩。
龍馬さんは勝海舟先生のもと神戸の海軍操練所、その後は薩摩の肝いりで長崎で亀山社中という商社をやる。これがいまの海援隊の前身。
いっぽうの中岡さんは長州に亡命なさって、禁門の変も長州側で参加。下関でエゲレスやフランスの艦隊に長州がボロクソやられるを見る。
おふたりのファンはガチ勢が多うござんして、ベンチャー企業から大企業まで、まず社長受けが抜群に良い、もちろん人足もぼて振りも下足番もファン。どうしてこんなに男に惚れられるんだか。
そうそう、ディレクターから頼まれて、お便りを預かっておりました。
読みます。
〈 坂本さん 大好きです。
どうやったら海援隊に入れますか？
進撃の鳥取藩士 〉
……いかがでしょう龍馬さん、うーん、まずは脱藩かな、って、ええええ、まじですか？脱藩、したほうがいいですかねえ？…商売に藩閥は必要ないき？うわー尊すぎます。
ちなみに中岡さんの陸援隊はどうですか。強けりゃオッケー？まあこっちは武力闘争向けですからね。高杉晋作の奇兵隊リスペクト？あ～萌えますね。
いづうの鯖寿司と伏見の月桂冠
しかし龍馬さん、寺田屋では危ないところだったそうじゃないですか。伏見奉行所の役人に踏み込まれて指を斬られ大出血。指って意外と血が出るし、ピストルも撃てない。大変でしたねえ。
……お登勢にずいぶん迷惑かけた？まあ寺田屋の女将は女傑ですから。しかし風呂に入ってた恋人のおりょうさんが裸で急を知らせたってのはホントですか？ほっほ、迷惑の掛けどころもちょっと乙ですね。
さてさて、この番組は、毎回ゲストさんのお好きな食べ物をご用意するんですが、今回何だと思います？
……軍鶏（しゃも）鍋？ノー。軍鶏鍋来ると思ったでしょ。違います。
……焼き飯？や、中岡さんがお好きだそうですが、すみません、これも違います。
実は龍馬さんが、新鮮な鯖に橙（だいだい）を絞って食べるのがお好きと聞きまして。さすが土佐のお人だと。
でも実は京都人、鯖にはちょっとわくわくする。
そう、本日のメニューは鯖寿司！！
京都は土佐みたいに新鮮な鯖はお出しできません。でも海がない土地ならではの凄さを発揮するのが、鯖という魚。
天明元年創業、京都の誇る、いづうの鯖寿司をご用意しましたよ。
若狭から鯖街道を通って京都に届く鯖は、若狭の浜で背開きにされた塩漬け。
この塩した鯖を酢で締めて、シャリと合わせて昆布を巻いて寝かせる。魚は新鮮がいちばんという常識の逆を張る奥深さ。
本日は特別にお酒もね。司牡丹、土佐鶴、峰乃月、土佐には良いお酒がたんとある。でもきょうは伏見の月桂冠を召し上がれ。
塩鯖が円熟したまろやかさに変わるマジック。酒も鯖寿司も、辛抱強く旨く仕上げてゆく。ちょっとおふたりのお仕事みたいですね。
いかがです？・・・美味い？ありがとうございます。京都人自慢の逸品です。
ささ、どんどん召し上がれ。
実はね、いま、お二人の説得術が、若手のマーケターから特に注目されてまして、いろんなとこから質問が来てます。
犬猿の薩長をとりもったお二方の説得のコツ、一言ずつお聞かせいただけますか？
中岡さんどうでしょう？
説得のコツは…真面目にコツコツ？あ～コツだけにコツコツ。実直なお人柄に萌えますねえ。
龍馬さんはどうでしょう？説得は……え、何ておっしゃった？三十六計…
「逃げて！」
？？？
……誰？
うひゃあ、なんと、いきなり裸の女が飛び込んできた～！
ど、どうしたんですあなた、ちょっと服着てくださいよッ、いま収録中ですよッ。
「逃げてえええ！」
……おりょう？おりょうと言われましたか龍馬さん……あれ龍馬さん中岡さん？お二人ともいない？どこです？どこ行かれました？
うわあああ奉行所だああああ！
い、いつのまに役人がッ、ひいい、やめて斬らないで、こんなとこで刀抜かないでえッ
皆さま、これでお別れかも、とりあえずコマーシャル、コマーシャル入りますッ。幕末チャンネルの無事をお祈りください～
この記事を書いた人
入江 澪
