京都の春を食す~漬物に凝縮された季節感はほろ苦さから~

菜の花
菜の花

まちは、漬物の宝庫

良質な水と寒暖極まった厳しい気候の下、京都ではさまざまな野菜が栽培され、その多くが漬物として食卓を彩ってきました。

また、和食が健康に良いということから、ビタミンやミネラルが豊富に含まれている漬物に対しても国内外から注目されています。

漬物は、野菜の素材を活かしながら酵素や乳酸菌により熟成されますが、これを食することは私たちの健康な体作りへの一助となっています。

今回、京都の春を食すと題し、京の春つけもの(3月~5月)についてご紹介します。

京つけものといえば

千枚漬け、すぐき、しば漬け

京都で美味しいものは?と聞かれると、つけもの・豆腐・京野菜とお答えしていますが、とりわけ京つけものでオススメしているのは、千枚漬け・すぐき・しば漬けとなります。

この3つは全国的にも有名ですね。

特に千枚漬けとすぐきは冬が旬で、聖護院かぶをかんながけされている様子や樽に一枚一枚美しく並べて漬けておられる様子が風物詩的によく映し出されています。

少し脱線しますが、京つけものの著名なお店の千枚漬けとまちのスーパーの千枚漬けを比べてみてください。

かぶの厚みと野菜本来の素材から出る甘味と昆布との融合した味加減が全く異なります。

「そんなんあたりまえやん、値段も違うがな」

とおっしゃるでしょうが、こうした味とお値段も高級な千枚漬けはほんまたまにしか食べられへんのです。

他にも、ゆず大根、きざみ(白菜のつけものを刻んだもの)、壬生菜とさまざまな漬物が店頭に並んでいます。

少し変わり種かなと思われる漬物としては、すいか、トマト、ごぼう、長芋などでしょうか。

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春の京つけもののキーワードは、ほろ苦さ

春の山菜として思い浮かぶのは、ふきのとう、せり、ぜんまい、たらの芽などがあります。

ふきのとう
せり
ぜんまい
たらの芽

食するとどこかほろ苦さがあり、その苦さやくせがまた良いとおっしゃる方もおられますが、子どもさんは総じておいしくないと感じる傾向があるようです。

上賀茂にすぐきで有名な「なり田」という非常に風情あるお店があり、こちらでもおすすめの春の京つけものが紹介されています。

菜の花やふきのとうの漬物がスーパーの店頭に並び始めると、あのほろ苦さが春の到来を感じさせ、季節の移ろいを味覚から楽しむことができます。

もう一つ、春の京つけもの

春キャベツ
春キャベツ

春は、春キャベツがみずみずしく甘みがあり、シャキシャキとした歯触りと音感で春を感じることができます。

個人的な感覚では、少し酢が効いていてやや酸っぱいのも特徴でしょうか。

おまけでもう一つ、からし菜の漬物

その名の通り、ピリリと辛いです。

眠い時や頭がぼんやりしているときは、パッチリと目が覚めます。

からし菜の塩もみ
からし菜の塩もみ

   

特色ある春の京つけものをご紹介しました。

野菜の息吹や季節を感じさせる京つけもの、そこに包まれるように秘められたほろ苦さ、大人の味といえるでしょう。

さりげなく、また何気なく食卓に置かれている京つけもの。

ごはんのお供となりつつも、凝縮された春という季節感をその味に感じ取ることができますので、このまちにお越しの節はご賞味いただければと思います。

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