幕末の志士、西郷隆盛さんの健康状態を改善しようとする京都幕末チャンネル
本日のゲスト紹介と、西郷隆盛さんのお悩み相談コーナー
皆さんごきげんよう。
不定期ゲリラ番組、京都幕末チャンネルのお時間がやってまいりました。暮れなずむ幕末の光と影の中、本日も豪華なゲストにお越しいただいています。西の雄藩薩摩を背負う、西郷隆盛さん!
西郷さん、本日はお忙しい中有難うございます。
薩摩は最近雰囲気が変わってきましたね。ちょっとこう、少々柔軟になったというか、攻め方がうまくなったというか、何か一段厚みが増した感じが致します。まあ西郷さんの存在が大きゅうございますね。
理想のリーダーといわれる西郷さん、番組で告知したら、さっそくお悩み相談が来ましたよ。
「上司に斬られそうです。どうしたらいいですか? 勤王のリッキーより」
リッキーさんおハガキ有難うございます。簡潔な文に血の叫びがありますね。きょうびただでさえ命がけなのに、上司にねえ。ホント幕末ですよ。
これはどうしたものでしょう西郷さん・・・まずは周囲とコミュニケーション?確かに~。
西郷さんも久光公といろいろありましたからね。沖永良部島で死にかけたお話、有名です。しかし二度の島流しにあって生還したお方も珍しい。西郷隆盛の生還論っつって、ほっほ。リッキーさんコミュニケーションですよう。
(広告)西郷さんをおもてなし~とらやの羊羹「夜の梅」と按摩コーナー
まあきょうはおくつろぎいただいて、甘党の西郷さんに京の名店とらやの「夜の梅」をご用意しました。
「夜の梅」は漆黒の羊羹に小豆を埋め込み闇夜の梅に見立てた大ヒット商品。ここの羊羹は十四代家茂将軍もお好きだったとかで、特に寅年は全国からご進物を買いに人が詰めかけるのです。ささ、召し上がれ。
・・・残念だけどダイエット中?会食続きで太っちゃって?
ありゃまあ、確かにちょっと山鉾のようではありますが。それに少々おやつれのご様子。確かに西郷さんといえば島帰りの上に東奔西走、要人と交渉して根回し、根回し、根回しの毎日。こりゃ大変だ。
実はわたくし按摩にはいささか心得がございます。失礼しておみ足を拝借。片足怪我してらっしゃるから、こっち。ちょっとじっとしていてくださいよ。
・・・・・・ッ!
どうです。気持ちいいでしょう。
・・・・・・ッ!ッ!ッ!!!
すうっとしてきたでしょう。も少しやりますか。いやもういい?
西郷さんの健康をまじめに考える~吉益東洞『薬徴』
しかし足を触った感じ、これは相当お悪いですな。歌に「二条のきぐすり、三条みすや針、四条のしばい」といって、医者や薬屋は二条高倉や室町あたりにたくさんおります。二条へおいでなさいませ。あそこの薬種街はいいですよ。
そういえば京の漢方界に名を馳せた吉益東洞先生は万病一毒、すべての病は毒によるもので、体内の毒を薬という毒で攻めて排除するのだとおっしゃっていました。病も毒、薬も毒、毒をもって毒を制すですね。
「蓋(けだ)し医者の薬を用ふるや、たとえばなほ武夫の兵を用ふるがごとし。武夫にして兵を畏(おそ)る。以て武夫たるべからず。医もまた然り。毒薬には各(おのおの)その能あり。各一病を主(つかさど)る。いやしくもその証あるものにしてこれを用ひざれば則ち終に治せず」(吉益東洞「薬徴」)
医者が薬を使うのは、武士が兵を使うのと同じ。毒にはそれぞれその効能があるから、それを恐れず用いなければ病は治せない、というお話ですね。
・・・われも毒、かれも毒。人にはそれぞれの持ち味がある。敬天愛人でいまの日本を解毒するたい?おお、さすが上司にしたい男ナンバーワン。
ただまずはご自分のお体です。これは二条の薬祖神祠のお守り。神農さんの虎といってお祭りの時五葉の笹と陶器の虎がついてくるのですが、今日は特別にこの虎を西郷さんにさしあげます。
雲竜風虎、竜は雲を従え、虎は風を従える。風の時代、西郷さんもご自愛なさって、われわれ一同虎のごとく、吹く風と共にまいりましょうぞ。
さ、それではもう一度、按摩いたしましょう。おみ足をこれへ。あれ、西郷さん?西郷さん?・・・西郷さんどこへいらっしゃる?
それではいったんコマーシャルのお時間です。チャンネルはこのまま、このままで。西郷さーん!
この記事を書いた人
入江 澪