このまち、京都に必ず存在する絶対的な美~心に描く桜の春風情~
京都に存在する絶対的な美
昨年、ソメイヨシノが咲き誇る時機を逸し、2023年の春は「春光りに京の桜を想う~秋愁いとの対照として、心に描く春風情~」をテーマに絶好のタイミングを得て今度こそ桜を逃がすまじと密かに考えていました。
ところが、今年の春の訪れは加速度的な勢いで、4月の初めには春が通り過ぎてしまうかのような移ろいで少なからず気が焦り、面食らっていました。
実際、本満寺のしだれ桜にはまんまと逃げられてしまい、2018年・2019年の苦汁をまたしても味わうこととなってしまい逢うこと叶わざるとなりました。
ものごころつくころから「絶対」という言葉は、安易に使ってはならぬ、「絶対」的なものはあり得ないと教えられてきました。
しかしながら、今回は敢て申し上げさせていただきます。
このまちの春には、絶対的な美が存在するということを!
(広告)春風情に発見した正伝寺の美
先日、西陣まちなか桜めぐりをしていて、行きついた先は、秋色や枯淡に魅かれて何度も足を運んでいる正伝寺でした。
以前にもデビッドボウイが涙した静寂をご紹介しましたが、心のどこかで正伝寺の春景色が観たいという秘めた想いがこの地に誘われた(いざなわれた)理由だと感じています。
悲しい知らせ
デビッドボウイに触れさせていただきましたが、ここでどうしても弔意を表したいことがあり、少しだけ記させていただきます。
この記事を認めているのは、2023年4月4日ですが、昨日坂本龍一さんの訃報がメディアにおいて報じられました。
かねてより闘病なさっておられるとのことで、先日の高橋ユキヒロさんに続いての悲しい知らせでした。
想い起すと、まだ中学生という少年の頃でしたが、聞いたことがない音、未来を感じさせるような音の連続、それまで関心が薄かった音楽を芸術として理解した契機がYMOでした。
とりわけ坂本さんの音楽には大きな影響を受け、その後の音楽に対する姿勢や方向性の指標になったと感じています。
戦場のメリークリスマス「Merry Christmas Mr.Lawrence」は、今もどこかで奏でられていてふと耳を澄ますと聞こえてくるような気がします。
時に厳しい目で演奏され、時に少しはにかんだ様子で話されている坂本さんの姿が印象に残っています。ご冥福をお祈りいたします。
正伝寺の絶対的な美、4つの要素
さて、正伝寺に戻ります。
方丈にどっかと腰を下ろし比叡山を遠望した際、このまちには絶対的な美が存在すると、心を震わすような感覚に襲われました。
・静寂
・青空
・桜
・比叡山
これらが相まった瞬間、何ものにも代え難い絶対的な美=桜が醸し出す春風情を心に刻むことになったのです。
この美は絶対としたものの永久不変ではありません。
あとわずかな時間の経過とともに儚く衰微していく運命となり、眼前の絶対美はまた異なる姿へと化することになります。
それではただの無常、絶対とはならないとご批判を受けるところです。
けれども、永久不変であるという錯覚と伴に観た桜の春風情とその後に予期される儚さを心に描いた瞬間が絶対的な美なのだと理解しています。
また天邪鬼的な堂々巡りが始まりそうなので、正伝寺の絶対的な美の他にも、こちらに至るまでに訪れた西陣まちなか桜めぐりもご紹介させていただきます。
(広告)西陣まちなか桜めぐり
いつもながらのルートとしては、
立本寺 → 椿寺 → 千本釈迦堂(大報恩寺) → 雨宝院 → 水火天満宮 → 妙顕寺 → 正伝寺
先にもお示ししましたが、本満寺も訪れたのですが、まんまと先を越され見事なしだれ桜は儚く散った後でした。
寺の門前に立ったとき思わず、「くそっ、今年もしてやられた」と思わず呟いてしまいました。
とかくタイミングが難しい、来年こそと誓っています。
立本寺
こちらの桜は、感嘆詞が漏れるほど、とかく美しいです。
椿寺
椿寺は界隈の人たちの愛称で、正式には地蔵院という浄土宗の寺院です。
五色八重散椿としだれ桜のコラボレーションが織り成す絶好の美を観ることができるのですが、こちらもタイミングを予測するのが難しいです。
千本釈迦堂
天神さん(北野天満宮)から花街上七軒を抜けた地にあります。
大工棟梁の妻おかめの逸話、年末の大根焚きが有名です。
雨宝院
西陣にひっそりと佇むこじんまりとした寺院です。
季節の折に際してふらりと訪れると、何かしら微妙な風景の機微が感じられます。
水火天満宮
堀川紫明界隈をぶらりと散歩していると、意外な地にある神社です。
堀川通に面しているものの気づかず通り越してしまうほど派手さのない神社で、秋に訪れると紅葉の美にも接することができます。
妙顕寺
堀川紫明界隈は寺社が多く、妙顕寺は桜に誘われて赴く寺院の一つです。
門前大本堂の大きさに驚いてしまいますが、歩を進めるに従って桜があり、桜や樹々、花々の配置に調和が施されているかのように感じられます。
「季節は移ろう」理解はできていても油断していると春はあっという間に過ぎ去って行きます。
正伝寺の絶対的な美は、今回の発見でしたが、比叡山と対峙して美を感じながらじっくりと無になってみたいという方におすすめします。
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