旧成徳中学校の「春めき桜」~ノスタルジックなお花見~
道端の花が少しずつ咲き始め、春の訪れを感じる季節になりました。
京都の春といえば、やはり外せないのが桜。
近ごろはソメイヨシノだけでなく、さまざまな早咲き桜の名所へ足を伸ばす方も、少なくないことでしょう。
(広告)ビジネス街にあるお花見スポット「旧成徳中学校」
京都における早咲き桜の名所でも、「旧成徳中学校」は少し違った趣きのある場所。
他の名所に神社仏閣が並ぶ中、こちらは烏丸エリアにあるビジネス街の一角に、ひっそりと存在します。
旧成徳中学校はその名の通り、昔学校として使われていた校舎。
2007年に閉校したあとは地域の施設として利用されていたのですが、この場所に植えられた早咲き桜が話題を呼び、名所として知られるようになったのだそうです。
こちらで鑑賞できる早咲き桜は「春めき桜」という品種。
神奈川県で農園を経営している男性が全国の小中学校に寄贈されている、2000年の春に品種登録されたばかりの桜です。
卒業生が学び舎から旅立つ頃に見ごろとなる春めき桜は、まるで子どもたちの門出を祝うように華やかな、未来への喜びに溢れた風貌。
背景がレトロな校舎であるのも相まって、じっと見つめていると、どこかノスタルジックな気持ちを思い出させます。
ビジネス街にあるお花見スポット「旧成徳中学校」
(広告)お花見のあとに訪れたい「高木珈琲 高辻本店」
春めき桜を愛でたあとは、近場で少し身体を休めたいもの。
そんなときに訪れたいのが、旧成徳中学校から歩いて2分の距離にある喫茶店「高木珈琲 高辻本店」です。
こちらは地域の人々に愛されてきた、1976年創業の純喫茶。
休日ともなれば、常連客で朝からあっという間に席が埋まる人気店です。
来店した際にどのメニューを注文するか悩んだのであれば、鉄板のオーダーは自家焙煎のコーヒー。
朝早くに訪れたのなら、空腹を満たすボリューミーなモーニングセットをいただくのもいいでしょう。
また、個人的には「自家製プリンセット」もおすすめ。
昔ながらの固めプリンに、ラム酒をきかせたカラメルソースがよく合う、少し大人な味わいのひと品です。
大人の街に溶け込む桜の名所
注文したメニューをいただき、高木珈琲をあとにすると、視線と気持ちはまた旧成徳中学校の方へ向かいます。
旧成徳中学校の付近に広がるビジネス街は、言わば大人の街。
皆、それぞれの青春を過ごし、当時の思い出を持って今も仕事に励んでいます。
桜の名所とは、多くの人にとっては「わざわざ」足を伸ばして訪れる場所。
けれどこの烏丸エリアを行き来している大人たちにとって、旧成徳中学校の春めき桜は、おそらく日常の中に溶け込んだ名所なのでしょう。
毎日の通勤の途中、ふと目をやると、春めき桜がほころび始めている……その風景は彼ら彼女らに、他の何より春の訪れを感じさせるはずです。
(広告)ふたつの春を応援する「春めき桜」
苦いコーヒーを初めて飲めたとき。喫茶店やカフェに、1人で入ることができたとき──そうやって子どもたちは一歩ずつ、大人の階段を歩んでいきます。
毎年、卒業生の花道を飾るように開花する、旧成徳中学校の春めき桜。
きっとこの桜は過ぎ去った青い春の日々を、ビジネス街の大人に思い出させてくれていることでしょう。
春めき桜が応援しているのは、いままさに大人への第一歩を踏み出す子どもたちと、かつて子どもだった大人たち、両方の春なのかもしれません。
旧成徳中学校(旧京都市立成徳中学校)
〒600-8433 京都府京都市下京区繁昌町290
高木珈琲 高辻本店
〒600-8434 京都府京都市下京区骨屋町175