幕末の会津中将、松平容保さまの心を全力でお慰めしたい京都幕末チャンネル
皆さまごきげんよう、
本日も京都幕末チャンネルのお時間がやってまいりました。
暮れなずむ幕末の光と影の中、京にお集まりのかたがたをボーダレスにお迎えし、ご好物でおもてなしして楽しいおしゃべりをお届けする幕末フリーダムなこのチャンネル。
ご案内役はわたくし幕末京雀。
今回はまた特別ビッグなゲストにお越しいただいています。
本日のゲストは京都守護職、松平容保公!
容保公、きょうはまことに有難うございます。
目もと涼しい白面の貴公子のお出ましで、このスタジオにも薫風の吹きわたる感がいたします。
本日のゲスト松平容保さまは、京都守護職で新選組の総元締め
改めてご紹介いたします。
京都守護職、松平容保公。藩祖保科正之さまから数えて九代目の会津藩主でいらっしゃる。
軍事にすぐれ、調停の才あり、公武一和の期待を背負って、この困難な時期の京都守護職に是非にと懇望された唯一無二のお武家さま。
孝明天皇さまも厚い信任をお寄せとか。
血で血を洗う京の治安を一手に引き受け、あの有名な新選組もこの会津藩のお預かり。
容保さま、京にいらっしゃるには並々ならぬご覚悟があったそうですね。
ご家老の西郷頼母さまも、薪を背負って火消しに行くようなものだと必死にお止めになったとか。
やはり藩祖保科正之さまの残された家訓が大きかったのですか?
「大君の義、一心大切に忠勤を存すべし。列国の例をもって自ら処るべからず。もし二心を懐(いだ)かば、則ち我が子孫にあらず」(家訓)
いやもう昔の人にこんな家訓を残されても困っちゃいますね。
京都守護職として入京なさった折は蹴上から黒谷まで、見物人が黒山の人だかりで群がった。
ちなみにこれはちょっと好奇心なんですが、新選組が池田屋に討ち入ったときはホントに数名で数十人の尊攘派に突入したのですか?
・・・近藤はそう言っている?さいですか。ま、正直ちょっとアホじゃないかと思いましたが、近藤勇さんて割とそういう豪胆なところがおありですね。あれで「卵ふわふわ」とかが好きなんですよ。可愛いでしょう。
容保さまは京料理はお口に合いましたか?
・・・ほ、関西の味はあっさりし過ぎ?
いやいや、京都人けっこう濃い味大好き。新福菜館なんか汁真っ黒じゃないですか。
まあ見た目の割に後味すっきりで、チャーハンにもスープかけちゃうんですけども。
北白川の天下一品だってこってりどろどろがクセになる。もう召し上がりましたかね?
あ、先日ご病気なさったばかりでしたね。
失礼しました。
(広告)松平容保さまに京都・平野屋の名物いもぼうをお出しする
きょうは容保さまに何をお出ししようかと考えて、平野屋の「いもぼう」をご用意しました。
東山にある名店、平野屋の「いもぼう」は、海老芋と棒鱈(ぼうだら)をじっくり炊いた滋味あふれる逸品です。
青蓮院宮さまが長崎から持って帰られた里芋を、当時御所にお仕えしていた平野屋権太夫が育てたのが、海老芋というブランドになった。その海老芋と、北前船が蝦夷から運んできた棒鱈を合わせてゆっくり炊いたのが「いもぼう」
・・・棒鱈(ぼうだら)を煮たのは会津でもさかんに食べている?そう、それなんです。
わたくし今回初めて知ったのですが、蝦夷地から北前船が運ぶぼうだらと身欠きにしん、あの料理が京にも会津にもあるのですね。
ちなみにわたくしども、身欠きにしんは蕎麦の上に乗せたりしますけども、会津では山椒の葉と一緒に炊くんでしょう?
今回うちのスタッフが会津藩士のかたに教わって、鞍馬の木の芽と身欠きにしんを炊いてみました。いかがですか?
北前船が京都にも会津にも運んでくる。
京も会津も以前からつながっていたのですな。
あ、切れ長の御目がうるんでいらっしゃいます。
わたくしも、つい、もらい泣き。
ご苦労がしのばれてなりません。
・・・そういえば先日夢をみた?はい、何でしょう。
慶喜公と弟君の桑名藩主定敬さまと、三人で船に乗っている夢?
冬の海で、寒風が吹きつけて、心が凍るように冷たかった・・・?
はてさて。いったいどんな夢占であるのやら。
あまりお考えあそばしますな。さあ、京を代表する逸品いもぼう、鞍馬の山椒と身欠きにしんの炊き合わせ、どうかじっくりお召し上がりください。
おいしそうに食べていらっしゃる。ああ嬉しい。
今後の抱負をお聞かせいただけますか?・・・・打倒長州。
あ、割とストレートでいらっしゃる。
致し方ございません。桂小五郎さんは三条大橋の下でも暮らしてゆけるでしょう。
容保さま、わたくしあまりこういうことは申し上げないのですが、心からご武運をお祈りしております。
それでは皆さん、いったんコマーシャル入ります。
チャンネルはこのまま、引き続き幕末チャンネルをお楽しみください。
この記事を書いた人
入江 澪