菜食文化のまち、京都~似ているようで実は違う京野菜~
在宅ワーカーとして働き方を変えてから、料理をすることもスーパーへ買い物に行く機会も随分と増えました。
店内にはさまざまな野菜がありますが、もちろん京野菜もたくさん置かれています。
京野菜は色彩も形も独特で、栄養価も高く、全国から注目されている食品の一つです。
お正月には、決まって金時人参やえびいもを食べますし、賀茂なすのしっかりとした味と野菜独特の甘味に感嘆します。
冬には(最近は年中販売されてはいますが、やはり旬がおいしいです)、酸っぱいけれどもやみつきになるすぐきの漬け物や千枚漬けの旨みと食感に脱帽してしまいます。
九条ねぎは、あらゆる料理で使われ、定番中の定番ともいえる京野菜です。
個人的な感覚になってしまうのですが、京野菜は野菜独自の風味があり、野菜固有の甘味が強いと感じています。それと中身が詰まっているからでしょうか、重いです。
ところで、スーパーで少し立ち止まって見比べてしまう野菜があり、「よう似てるなあ」と思いつつ目をしばたたかせて見ていることがあります。
(広告)似ているようで実は違う個性的な京野菜
みず菜と壬生菜
聖護院だいこんと聖護院かぶ
万願寺とうがらしと伏見とうがらし
今回これらよく似ているようで実は違う京野菜に焦点を当て、少し丁寧に調べてみることにしました。
みず菜と壬生菜
みず菜
古くから栽培され、京菜や千筋京水菜(せんすじきょうみずな)とも呼ばれました。
葉がギザギザで、シャキシャキした歯ざわりが特徴です。鍋物や炊き合わせによく使われ、生でサラダとして用いられることが多いです。
私は、「このごろ野菜が足らんなあ」と感じると、豚肉とみず菜の鍋をして、ポン酢でいただくことがよくあります。
壬生菜
(たまたまなのですが、京都新聞(6/2朝刊)で「京野菜ルーツ、遺伝子と古文書で解読 「壬生菜」に意外な野菜の遺伝子が」という記事が掲載されていました。みず菜とかぶの交配で壬生菜ができたとか。
壬生菜は、みず菜と同じ品種でみず菜の一変種が壬生寺界隈で多く植えられるようになったことでこう呼ばれるようになったとのことです。幕末、きっと新選組の面々も食したはずです。
みず菜の葉と異なり、丸みがあるのが特徴です。ピリッとした特有の辛味と辛子の香りがあり、シャキシャキした歯ざわりがあります。
漬け物や鍋物、お浸しなどに使われることが多いです。
聖護院だいこんと聖護院かぶ
どちらも聖護院とついていて、形も丸く色も白で同じ。
「だいこん」なのか「かぶ」なのかで大いに迷うのがこの聖護院だいこんと聖護院かぶです。
聖護院だいこん
だいこんというと根が長くニョキとしている形が想定できますが、聖護院だいこんはかぶとよく似た丸い形をしています。
特徴としては、葉がギザギザに切れ込みが入っていて、たくさんの葉が生えています。
また、株元(土の上に少しだけ顔を出した部分)がうっすらと緑色になります。
甘味のあるきめ細やかな肉質で、とろけるような口当たりです。煮崩れしにくいので、煮ものやふろふきとして味わうと絶品です。
聖護院かぶ
身がしっかりと詰まって、どっしりした丸い形で重厚感があります。
特徴としては、葉に切れ込みはなく葉先にむけて丸く1枚の葉がついています。株元は、聖護院だいこんのような緑色はなく、真っ白なままです。
また、京都の漬け物としてとても有名な千枚漬けは、この聖護院かぶが使われています。
身がやわらかく淡白な味わいで、脂ののった鯛のアラやぶりとの炊き合わせ、かぶら蒸しとして調理されます。寒い冬に、かぶら蒸しを食べるとほっこりと心が和みます。
万願寺とうがらしと伏見とうがらし
万願寺とうがらし
舞鶴市が発祥の京野菜で、伏見とうがらしとカリフォルニア・ワンダーとの交雑種ではないかといわれています。
とうがらしとはいうものの、辛味がなく肉厚で食べごたえがあります。また、種が少なくほんのりと甘くて食べやすいことも特徴です。
天ぷら、焼きとうがらし、佃煮など幅広く使われています。
伏見とうがらし
万願寺とうがらしほど大きくなく、肉厚ではなくすらりとした形の伏見とうがらしは、親しみを込めて「青と」と呼ばれます。
辛味のほとんどでない品種で、天ぷら、煮物、焼き物など幅広く料理に使われています。
似ているようで実は違う京野菜、いかがだったでしょうか。
50を半ばすぎてもなお肉を好むような食習慣がありますが、近ごろようやく野菜の甘味、おいしさがわかるようになってきました。
ネットでは、京野菜の料理レシピが豊富にありますので、野菜本来の自然な味に触れてみるのも一興だと感じています。
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