春という季節に入学するということ~9月入学に想う~

先日、高校3年になる息子と話していました。

「おとうさん、授業とか受験はどうなるんやろ?」

「9月入学でもなんでもええし、はよ、決めてほしい」

電話口から聞こえる息子の声は、愚痴とか怒りではなく、悲痛な叫びでした。

この新型コロナウイルスの感染拡大で、もう2か月以上も休校が続き、小学校の子どもたちや中学校・高等学校の生徒さんにとって最も大切な教育を受ける機会が損なわれ、友達や先生に会えない日々に直面し、深刻な事態となっています。

かわいそうやなでは済まされない、何とか助けてあげんとという心からの心底の想いはみなさん同じだと思います。

ところで最近、急浮上していますね。9月入学です。

今のこのタイミングでしか導入することはできないとか、3月末までにカリキュラムを詰め込むだけ詰め込むのが教育かと議論は大いに盛り上がっています。

メディアでも、日本経済新聞社の世論調査では、学校の入学や始業を9月にする案への「賛成」は56%となり「反対」の32%を上回ったとのことです。(2020年5月10日の記事より)

こうした社会動向は、新型コロナウイルスの対策で際立った手腕を見せている地方自治体の首長がテレビを始めとするメディアで9月入学の推進を示していることも追い風の要因として捉えることもできるでしょう。

確かに、9月入学に対するメリットとして、次の2点を挙げることができます。

・9月入学への移行は、今回4月から学ぶことが十分でない状況に対して、改めて最初から学習することができ、学びに対する遅れを補うことができる。

・海外では、秋入学を制度としている学校が多く、9月入学というグローバルスタンダードを導入することで、海外の学校との接続が容易となり、留学などの受け入れと送り出しをスムーズに行うことができ、グローバルに学べるという可能性が広がる

率直に言って、今の世の中の流れは9月入学へとなっているように感じます。

が、私は今、急に9月入学に移行することにはあまり賛同できないと感じています。

息子も含めて、子どもたちや生徒さんたちを助けてあげないといけない、重々に認識していますが、この9月からとか来年の9月からとか導入するとなると、日本社会が本当に大混乱しますよ。

けれども来年の8月一杯かかってしっかりと教育を受けることにするのも大切だと考えますし、受験生にはその方がいいかもしれません。

今、本当のところ頭の整理がつきません。

息子にも、そのまま伝えました。

「正直、お父さんも混乱してて、頭の整理がつかん。今、アドバイスできひん、ごめん」

4月入学、9月入学で私には、もう一つ心の引っかかりがあります。

もちろん教育における効果とかメリット、デメリットが中心的な論点となりますが、全く異なる想いとして、現在の4月入学において日本人が内面に強く保持している「春」や「桜」に対する情とか情感に心が動くのです。

テレビでインタビューを受けていた生徒の一人は、9月入学について「春という季節の中、満開に咲き誇る美しい桜の下で入学を迎えたい」と話していました。

こういう子もいるんや。なんか通じるところある、と感じました。

一生懸命に努力して、冬の寒さに耐えながら合格を勝ち取った後、桜が咲く春に入学を迎えるという春という季節と瞬時に咲く桜に対して日本人は心に響くものがあることも事実と思います。

春という季節、桜という花、日本固有の風土と日本人固有の情感を心に写した時、4月に入学を迎えるあの喜びがやはり心に響きます。

そんな精神論的なことを言っている場合とちがうやろ、ときつくお叱りをいただきそうなのですが、それでも私には「春」と「桜」が入学する人たちを祝福しているように感じてしまうのです。