京菓子「あゆ」、ほのかな甘みが京都人に喜ばれる理由は?

おふくろは北山、川端康成の「古都」で有名な北山杉の産地の出なのですが、そこを流れる清流、清滝川で獲れる鮎を子どものころ何度となくいただきました。

鮎は非常に上品な形をしていて、独特の香りがあり、子ども心にも貴重な味をいただいているのだと感じました。

また「はらわた」は、ひときわ苦く、大人にとってはこれがまた絶好の酒のあてであったようです。

今となっては、スーパーでも養殖ものの鮎が見られるように、それほど貴重な高級魚というイメージは無くなりました。

それでも、私の意識の中では夏のごちそうであり、清流の中をすばしこくまた美しく泳ぐ鮎を思い出すことができます。

前置きが長くなりました。

今回の「あゆ」は、魚の鮎ではなく、夏の風物詩の一つである和菓子の「あゆ」なのです。

最近では、夏を待たずにスーパーなどでも「あゆ」が見られますが、かつては夏の到来を味わうお菓子でした。逆さまにいいますと、あゆを見かけるとあの暑い夏が京都にやって来たと感じる季節の移ろいを示すお菓子だったのです。

字の通り、鮎をかたどった和菓子で、どことなく可愛げがあり、親しみを感じます。

しっとりとした焼皮(カステラ生地)にやわらかい求肥餅(ぎゅうひもち)を包み込みこんだ和菓子です。

求肥餅は少し耳慣れませんが、餅を餅粉にし、蒸し、砂糖で練り、水飴を入れて丁寧に作られます。

砂糖や水飴の配合、練り具合など和菓子屋によって微妙に差があるようです。

まさに職人さんの技の見せ所といった感じでしょうか。

お店によって少しずつ味わいや食感(しっとり感)が異なるようですので、スーパーばかりで満足している私もまちなかに繰り出して味の違いを探ってみるのも一興かもしれません。

さて、気になる味ですが、直感的にいいますと淡い甘み、ほんのりとした甘みといったところでしょうか。鮎は、独特の香りが上品さを感じますが、あゆにも独特の甘い香りと上品な甘みを感じることができます。

このあゆの愛らしく涼しげな形を見ながら、上品な淡い甘みをいただくとやはり京都の夏の風情を感じることができます。

京都の和菓子屋さんは、創業何年ですかと尋ねるとだいたい、

「うちは、まだまだ最近ですわ。100年ほどでしゃろか」

と笑顔で話されますのでびっくりしますが、大店(おおだな)の名店やまちなかにひっそりとたたずむまちの和菓子屋さんに足を運ばれてみるのもいかがでしょうか。きっと、おもしろい発見がありますよ。

鮎とあゆ、私にとってはどちらも夏の到来を味わう食べ物を見つけることができました。

おすすめ、「笹屋昌園 若鮎」