あのすき焼きが食べたい~京都の老舗中の老舗、三嶋亭~

三嶋亭は、すき焼き店です。京都でも老舗中の老舗で、その建物のたたずまいも伝統を感じさせます。

もちろん、お値段もいいお値段で、一介のサラリーマンだった私がひょいひょいと行けるお店ではありません。「就職して、給料もらうようになったら、いっぺんおやじとおふくろを連れて行ったろ」と思ったものです。

まちのど真ん中、寺町御池の市役所を下がった寺町三条の角に三嶋亭があるのですが、一見してすき焼き店とは思えないです。京町家造りの店構えは、和風の宿?とも思ってしまいますが、歴史と伝統をひしひしと感じさせます。

江戸時代まで牛肉を食べることは禁じられていましたが、明治時代になり文明開化と伴に肉食が解禁されました。

明治6年に三嶋亭は創業されましたが、当時は牛鍋と呼ばれ、庶民の間でも牛肉を食べる習慣が根づいていきました。

思い出したのですが、国民的作家夏目漱石は、終生胃弱に悩んでいたと聞いたことがありますが、胃が悪いのに濃い味の牛鍋を好んだそうです。

また、同志社の創立者新島襄は、当時寺町丸太町に住んでいましたが(現在の新島旧邸)、丸太町から三条まで下がって三嶋亭へ行っていたと耳にしたこともあります。NHK大河ドラマ「八重の桜」でもおなじみの妻八重と一緒に牛鍋を楽しんでいたのでしょうね。

さて、すき焼きです。調理は、仲居さんがしてくれます。

すき焼きの具とともにお肉を持ってこられますが、一目見て霜降りのいい色合いの良質なお肉とすぐにわかります。「これ、食べんのか、なんと贅沢な!」とつくづく感じてしまいます。

三嶋亭のすき焼きは、少し変わっていて、最初に少し大きめのお肉を八角形のお鍋に入れてザラメ(砂糖です)と醤油で絡めながら煮るというよりは焼くという感じでしょうか。

お肉が食べごろになると、仲居さんが器に入れてくれます。

一口食べると。ほんま、びっくりしますよ、大げさですが、あまからの絶妙な味とお肉のうまみでうなってしまいます。

ところで、仕事について3年も経ったころでしょうか、おやじとおふくろを連れていきました。きっと、喜んでくれたんだと思います。が、どんな感じで食事をしたのか覚えていません。

もうずいぶんと三嶋亭はごぶさたしております。おやじとおふくろの食事は忘れても、あのすき焼きの味は今も忘れることができません。

あぁ、あのすき焼きが食べたい。

ごはんのお伴に。おすすめ、「三嶋亭牛肉しぐれ煮」