知られたくない、京まちなかのもみじ寺

季節が移ろいます。

もう晩秋を過ぎて初冬となりますが、絵画の如く鮮やかに秋を映し出すこのまちは、やはり美しいです。

2023年晩秋。

これはもう全く思いも寄らぬ出逢いから気のままに訪れた寺院で、「秋の特別拝観」という門前の案内に誘われる(いざなわれる)ように門を潜った記憶が残っています。

今回、自分だけの想いとするのも一興なのですが、ひとつご紹介することで秋の風情を共有させていただこうと考え「知られたくない、京まちなかのもみじ寺」をお届けします。

秋愁いを探している中での出逢い

秋に心と書いて愁い、秋はふとした寂しさを感じながら知らぬ間に想いに耽って愁いを探す、このようなちょっとしたセンチメンタルな衝動をまちなかのそぞろ歩きに求めるようなことがあります。

雨宝院

2023年の晩秋、秋愁いを探しつつ西陣の雨宝院にふらりと立ち寄った後、さて風まかせに東へと足を向けました。

眼前に堀川通が広がった際、いつものこと感じるのですが、銀杏が連なっていく姿を「堀川通が美しい!」と思わず口にする我が身に気づいていました。

堀川通の銀杏

ふらふらと通りを歩いていた際に「秋の特別拝観」の看板が目に入り、ためらいを感じることなく寺院の門前に立った際、垣間見えたもみじのトンネルにも誘われ(いざなわれ)ました。

西陣興聖寺

全く思いも寄らぬ、京まちなかのもみじ寺との出逢いでした。

西陣興聖寺、織部寺とも

興聖寺は、臨済宗の寺院で織部寺ともいわれます。堀川寺之内を少し上がったところに位置します。

開基は、古田織部で慶長八年(1603年)に創建されました。古田織部(本名:古田重成(しげなり))は、信長、秀吉に仕えた戦国武将ですが、千利休に師事し、茶道(茶の湯)に深く傾倒し「織部流」を大成した数寄者です。

古田織部というと、かつて大学職員時代に昼飯を取るためよく通った昭和懐かしい趣ある食堂があるのですが、ここで週間モーニングを見ていました。この漫画誌に古田織部をテーマにした「へうげもの」という漫画を見るにつけ、数寄者・織部を感じたものです。

それでは、これまでの秋風情、春風情の装いについて画像とともにご紹介します。

2023年秋(11月末)の風情

初めて訪れた際の秋風情です。門前のもみじのトンネルには少なからず感動しました。

2023年秋の興聖寺もみじ

2023年秋 興聖寺本堂の襖絵
本堂の襖絵

2024年秋(11月末)の風情

もう一度あの秋風情に逢いたいとの想いを感じつつ再訪しました。

2024年興聖寺秋の画像1

2024年興聖寺秋の画像2

2025年春(4月上旬)の風情

春にも特別拝観がある点を知り、桜が際立つ美しさを見せる中、春風情を感じつつ訪れました。

2025年興聖寺 春の桜

2025年秋(11月末)の風情

私にとっては、秋風情と秋愁いを体感する場として必須となった興聖寺。今年も訪れました。

本堂から門へと視点を変えた画像を撮りました。

2025年興聖寺 秋のもみじ

さらなる界隈に足を延ばす

堀川寺之内界隈は、多くの寺社があり、そぞろ歩いていると思いがけない出逢いが待っています。

水火天満宮 春と秋

水火天満宮 春の桜

水火天満宮 秋のもみじ

妙顕寺 春と秋

妙顕寺 春の桜

妙顕寺 秋のもみじ

さらに足を延ばしますと賀茂川、御所にもいくことができ、まちなか歩きにピッタリといえます。

こっそり訪れることの楽しみ

このまちの春と秋は、とかく人が集まります。テレビで清水寺界隈、嵐山界隈が映し出されると、訪れた人たちは季節の移ろい、まちの風情を感じてお帰りになったのだろうかと感じることがあります。

有名どころではない、ひっそりと見つけたところにこっそりと訪れ、桜を愛で、秋色を観ながら愁いを感じる、というような楽しみを持っているのもいいと感じています。

「来年もまた来よう」そんなまちかど、このまちにはまだまだ数多あります。

知られたくない、京まちなかのもみじ寺、西陣興聖寺。

ふと思い出された際に一度ふらりと足を向けてみるのもいかがでしょうか。