住んでみなはれ!~京都移住を感じている人たちへの必読書~

三年坂

ふだんの京都を疑似体験できる、この1冊

さまざまな出会いは、実にひょんなところにあります。

ある日、パソコンの画面をぼんやり見ているとメールの新着通知がありました。見るでもなくクリックすると、アマゾンからの書籍案内でした。

メールを削除しようとした際、ふと目に入った書籍があり、手が止まってしまいました。

著者は知らない方で校條剛(めんじょう・つよし)さんという方。新潮社に長く勤められ、その後京都造形芸術大学(現在では京都芸術大学でしょうか)の教授として4年間京都のまちなかにお住まいになられたとか。

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なにやら面白そうな気配というかにおいがプンプンする書籍だと感じました。

もう一つ。これはずるいと感じたのが著書の帯。

「京都は深く、そして裏がある。それが書かれてしまった。」という文言ですが、磯田道史さんの推薦とのことで、思わず購入していました。

今回、たまたま出会ったこの書籍について、共感することを基に、京都移住を感じている方や移住未満の京都滞在をお考えになっておられる方へ、京都に住まう私的な目線からご紹介させていただこうと思います。

京都についてあれこれ考えたり、お伝えしたりしていますが、出不精で内弁慶が基本となってしまっていますので、よそさんというと失礼だと感じますけれども、東京の方は京都をどのように感じておられるのか関心がありました。

著者の校條さんは、4年間の京暮らしから東京者というよそさんが京都人ににわかに化けたとおっしゃるのですが、私は決してそうではないと感じています。

現在このまちで暮らしている私の目線とも大きく乖離することなく、校條さんは京都人とほぼ等しい視点をお持ちだといっても差支えないのではと感じています。読了直後の感想です。

最初に目次をざっと見た際も、これは面白い内容が満載だろうとすぐに察しがつきました。

もちろん読み始めると、面白い!とすぐに実感できました。

「小説新潮」の編集長を経験され、大学でも文芸表現学つまり小説を創作することをご専門に教育・研究をされておられましたので、人を魅了するようなまた面白いコンテンツに仕上げるのは既に確約されていて、あとは自由自在に表現の連続をくまなく散りばめる手腕というのでしょうか、さすが文芸人だと感嘆しました。

にわか<京都人>宣言 東京者の京都暮らし」、ご紹介しますと申しましたが、内容にはあえて詳しく触れません。

実際に手に取ってお読みしていただく方が、きっと心に響く上に観光とは異なる、ふだんの京都が現実的に見え隠れすることを感じていただけると考えているからです。

とはいうものの、少しだけピリッとする山椒のようなポイントを2つお示しします。

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FRESCO(フレスコ)という不可思議

京都のまちなかをぶらぶらしていますとFRESCO(フレスコ)というお店を頻繁に見かけるのですが、コンビニのようなスーパーのような不可思議なお店。

お安くこじんまりしたお店なのですが、ミニスーパー?といっていいのでしょうか。

FRESCOを切り口にされているのは、共感と驚愕です。

地蔵盆という不可思議

五山の送り火が過ぎ、8月もそろそろ終わりが見えてくるころ、京都では町内ごとに地蔵盆が行われます。地蔵盆を一言で表わすなら、「夏の子どもたちのお祭り」となるでしょうか。

毎年、ふつうに行われます。

地蔵盆の風習を目の当たりにされた校條さんが、驚きと不可思議をお感じになったのは当然だと思います。ここにも共感と京都での自然な風景に驚かれるよそさんを見て私たちが驚くという気づきがありました。

京都移住を感じている方や移住未満の京都滞在をお考えになっておられる方への必読書としましたが、「住んでみなはれ!」という江戸っ子の歯切れと威勢のいい言いっぷりに爽快さを感じるとともに、校條さんが最もお話しされたいことだったのかもしれません。

とかく、読んでみなはれ!

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