京まちなかで小粋な着こなし、冬着物とは~夏着物との違いは?~
2月如月、一年で最も寒い時期と感じています。節分が終わり立春を迎えても痛いような寒さが身に沁みる日が続くのですが、陽ざしの中に僅かな少し暖かさが感じられて、春の足音が聞こえるような時節となりました。
この寒さの中で季節のうつろいをぼんやりと考えてテレビを見ていたところ、清水さん(清水寺)や渡月橋に着物姿の男性や女性がちらほらとおられるのが見受けられ、冬着物が少し気になり調べてみようと考えました。
以前に夏着物を取り上げ、絽と紗の違いを紹介しました。夏着物があるということは、冬着物もあるということになります。
かつて子どもだった頃の昭和40年代には、お年寄りはほとんどの方が着物を着ておられて、洋服姿の方は珍しかったです。
また、おふくろも着物の方が暖かいといって、よく着物を着ていたことを記憶しています。
今回、冬着物に焦点を当て、季節との深い関わりについてもお示しします。
(広告)冬着物の手掛かりとなるのは、袷(あわせ)と羽織
端的にいってしまうと、冬着物は裏地がついた袷(あわせ)となります。夏着物の絽や紗は透け感が特色で、見た目にも着心地にも涼しさが重視される生地でした。
冬着物は、寒い季節ですから着物に裏地がしっかりとつけられている点が特徴です。
もうひとつ、冬着物と合わせて羽織、長羽織を防寒具として着る点です。
まちなかで羽織をきちんと身に付けておられる方を見かけると、着物の正装というのでしょうか、凛とした姿を感じます。
冬着物、夏着物(絽と紗)とは別に、つまり冬や夏以外の季節に着る着物として単衣(ひとえ)があります。
これは、裏地がない着物で、軽くやや涼しく着られるのが特徴です。
季節に合わせる着物以外の小物
着物以外の小物にも季節と深く関わりがあります。確固と決められた定めというわけではありませんが、冬に夏物を使う、その逆もやはり不粋となって、自然と生活に溶け込んだルールが存在するのだと考えられます。
帯
季節に関わる点として、次のようなポイントがあります。
・裏地がついているものは、袷の着物に合わせる。
・透け感があるものは夏用
・季節を感じさせるような柄が入っているものは、その季節に締める。
・季節感がない柄は、どの季節に締めてもかまわない。
長襦袢(ながじゅばん)
着物の下に着る長襦袢にも季節に関わる点として、次のようなポイントがあります。
・春・秋・冬は、袷の長襦袢を着る。胴体部分には、胴裏と呼ばれる裏地をつける。
・単衣の着物を着る季節には、長襦袢も単衣のものを着る。
・夏に絽や紗の着物を着る際は、絽や紗、麻などの薄く涼しい生地の長襦袢を着る。
着物を着る場合、長襦袢で温度調整をすることで、気候・天候に合わせた着こなしをすることも賢明といえるでしょう。
(広告)季節感とともに小粋に着物を着るのも楽しみの1つ
寒い冬の京都にもまちなかは、やはり京風情が満ちていて訪れてみるという選択肢も考えられます。
京まちなかで冬着物を着て、観光地だけでなくまちなかをぶらぶらしてみる、そこには日常を超えた美や感性に触れることができるかもしれません。
今や着物はレンタルができるご時世。懐手しながら、男性の着物姿も小粋です。
(広告)冴えた都大路を着物姿で歩くのも一興、と感じることもできるのではないでしょうか。