おすすめの夏着物、絽(ろ)と紗(しゃ)の違いとは?
粋な夏着物、絽と紗
西陣というきもののまちで生まれ育ちながら、私は着物のことがあまりよくわかりません。
おふくろが糸繰りという内職をしたり、ご近所は概ね着物関係の仕事をされていましたが、どうも着物には疎く、今更ながら少し恥ずかしく感じています。
先日、うちの和尚さんから今年はコロナの関係でお盆のお参りは見合わせとさせていただきますとの手紙が届きました。
例年、お盆になりますと各檀家さんの家をお参りに回られるのですが、その際いつも感じていたのが和尚さんの着物のことでした。
最近では暑い騒ぎではない、8月の酷暑の中を、汗を拭きながらお参りしてくださるのですが、透け感のある涼やかな着物に目が止まるのです。
和尚さんの着物は、絽(ろ)やろか紗(しゃ)やろかと見てしまうのですが、実際のところはお聞きしていないのでわかりません。
夏着物というと、絽や紗が多く、この透け感が特色となっています。
が、私も含めてこの着物の違いはあまり知られていないことに気がつき、少し調べてみようと考えたのです。
盛夏の着物の生地には、代表的なものとして絽(ろ)と紗(しゃ)があります。
どちらも二本の経糸(たていと)を捩りながら緯糸(よこいと)を織り込んだもじり織で、透け感が特徴の見た目にも涼しげな生地となります。
着物の織り方など専門的なことは省き、ざっくりと絽と紗の違いをお示ししようと思います。
(広告)絽
・結婚式やお茶席などのフォーマルな席にふさわしい生地
・緯糸数本おきに隙間を作りながら織り上げる、三本絽、五本絽、七本絽がある。また経糸で隙間を作る経絽(たてろ)がある
紗
・カジュアルからセミフォーマルまで幅広く着ることができる生地
・二本の経糸で緯糸一本ずつをからめて織り上げるもじり織でシンプル感がある
・絽よりも全体的に透け感が大きい
さて、まちなかで絽や紗の着物の方と通り過ぎたとして、一見してどちらか判別するのは難しいのではないでしょうか。
これは私の感覚的な視点からですが、透け感は紗の方が大きく糸との隙間が網目状である点、絽は三本絽、五本絽、七本絽といった織り上げ方からなる筋状の隙間がある点でその違いがわかるではと感じています。
夏着物というと浴衣という印象がありますが、こうした絽や紗の着物を着こなしていることや透け感で涼やかさを醸し出しているのも粋だと思います。
これは少し不謹慎ですが、来夏和尚さんがお越しになった際に絽か紗か、こっそり覗かせていただこうと思っています。
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