教育熱心な子育て世代に圧倒的な人気~なぜ御所南小学区に~
東京遷都を機に京都が沈滞することがないよう、またまちの人たちが意気消沈することがないよう、町衆の心意気により先駆的な小学校、いわゆる番組小学校64校が開校しました。
京都の学区とは
この番組が現在にも継承されている学区で、小学校ごとに設置されています。
学区(小学校区)は、行政組織ではなく、住民自治組織で構成としては、下記の通りとなります。
区 - 学区(小学校区) - 町内会 - 隣組
一例として
中京区 - 高倉学区(高倉小学校区) - 釜座町(かまんざちょう) - 隣組
※隣組は、数軒単位ですが、それぞれの町内会で決められています。
町内会には、主に会長、副会長や会計などの役員があり、隣組は組長があります。
また、中学校について、京都市教育委員会では、居住地の住所地(町及び地番)による通学区域に基づいて指定しているとのことです。
上の例では、
高倉学区は、京都御池中学校が通学区域に基づく指定となっています。
さらに補足すると、京都御池中学校の指定は、高倉小学校の他に御所南小学校、2018年に新設された御所東小学校となっています。
このような点を前提として、今回教育熱心な子育て世代は、なぜ御所南小学校に集まろうとするのか、指定先の京都御池中学校や進学先としての高校や大学の状況を交えてご紹介します。
その前に御所南について少しご紹介しましょう。
御所南は、個人的な感覚として西は烏丸丸太町~烏丸御池、東は河原町丸太町~河原町御池に囲まれたエリアかなと考えています。
「いや、御池通ではなく四条まで」という向きもあろうかと思いますが、その場合は高倉小学校がある六角通までではないかと感じます。
御所の向い丸太町通り沿いに京都地方裁判所がありその関係でしょうか、弁護士(法律)事務所や司法書士事務所などが多くあります。
また、河原町御池には、京都市役所もありすぐそばが寺町商店街・新京極、四条河原町の繁華街へと通じています。
小中学校や幼稚園、京都市子育て支援総合センターこどもみらい館や京都国際マンガミュージアム、御池通を渡ると子ども相談センターパトナ、京都文化博物館と教育支援や文化施設が多数ある文教地区で、非常に閑静で落ち着いた街並みからもまちなかアカデミック・セレブエリアともいえそうです。
ドーナツ化現象という言葉をご存知でしょうか、かつて京都でもまちなかの人口がどんどん郊外へ流出し、小学校の統廃合がかなり進められました。
そのような状況の中、御所南小学校は、京都市立梅屋小学校、京都市立竹間富有小学校、京都市立龍池小学校、京都市立春日小学校が統合されて開校された小学校で、梅屋(うめや)、竹間(ちっかん)富有(ふゆう)、龍池(たついけ)、春日(かすが)の名の通り統合前の小学校は番組小学校の流れを汲んでいました。
御所南小学校は、特色ある教育を展開する先進的小学校として、国(文部科学省)や京都市が支援する肝いりの小学校となり、注目を集め、ひいていはブランド小学校へとつながっていきました。
特色ある教育は、下記に示す通りです。
地域(コミュニティ)と学校との連携により創造力を持つ子どもの育成と地域コミュニティの創設を目指すようなコミュニティ・スクールの推進
・文部科学省「新しいタイプの学校運営に関する実践研究」の指定(平成14年度)
・学校運営協議会の設置の指定(平成16年11月 京都市教育委員会より)
・京都市小中一貫教育特区の認定(平成18年度 高倉小学校、京都御池中学校の3校による研究と推進)
(広告)京都の公立エリートコース
ここでようやく本題の御所南に教育熱心な子育て世代が集まり、御所南小学校へ入れたがるのかという点についてお示しします。
もう、これは端的にいいますと、我が子をいい高校・大学に行かせるためです。いい高校とは、偏差値が高く進学実績が良いだけではなく、教育カリキュラムや内容が素晴らしいことを指しています。
大学においても同じで、偏差値が高く就職先が良いだけではありません。
戦前の話となり恐縮なのですが、当時東京大学や京都大学へ進学する明確なエリートコースがありました。
東京府立第一中学校 - 第一高等学校 - 東京大学
京都府立第一中学校(現在の洛北高校) - 第三高等学校 - 京都大学
少し強引ですが、現在の京都における公立小・中・高のエリートコースの一つとして、
御所南小学校 - 京都御池中学校 - 堀川高校 - 京都大学
が挙げられます。
御所南小学校の進学先である京都御池中学校ですが、老人デイサービス施設や保育所などが同居するといった斬新なコンセプトにより建設された複合施設で小中一貫教育を展開しています。
堀川高校への進学者も多く、こちらも教育に熱意を傾ける子育て世代に注目されています。
京都大学への進学を考えた場合、堀川高校とは別の公立高校である西京、嵯峨野、洛北高校などや私立の洛南、洛星高校といった選択肢もありますが、堀川高校は毎年40名以上の合格者を輩出し、公立という点からしても学費が安いことから、このエリートコースに乗るべくわさわざ御所南のマンションに移り住む家庭も多いと耳にしました。
このマンションなのですが、もうずいぶんと前のことになります。御所から御所南をぶらぶらしていた際、御池通沿いを始めどうも周辺にマンションが林立している様子が視界に入り、少し不可思議でした。
それが、御所南小学校や京都御池中学校へ子どもを行かせたいが故の人口集中なのだと理由が分かって、なるほどと感じたことを思い出します。
御所南小学校が周辺の過密化に伴いマンモス化する中で、これは驚いたのですが河原町丸太町の元春日小学校のあった地に御所東小学校が2018年に新設されました。増設といったところでしょうか。
これほどまでに御所南というエリアに人気と人が集中していたことを知り、やはりびっくり仰天でした。
こちら御所東小学校も同じ小中一貫教育が行われ、進学先はやはり京都御池中学校となります。
この小学校、ちょうど御所の東に位置しますが、こちらの展開は今後どうなるのでしょうね。静観したいと考えます。
御所南小学校を基点に、まちなかの教育事情について触れてみました。
極めて客観的な視点で記したと考えているのですが、最後に一言だけもの申して筆をおきます。
長らく京都の公立高校は低迷し、京大や同志社、立命館を目指すなら私学へ行くというのが私世代の共有した考え方でした。
現在、堀川高校を始め公立高校の躍進はめざましいものがありますが、それに巻き込まれるように中学校や小学校のある意味教育支援における選別と選別された学校への重点化が行われているように感じます。
いい取り組みは、子どもたちや生徒全てが享受できるようにしないと。
番組小学校を作り上げた町衆の心意気は、等しく同じ教育を受けることができることが設立の趣旨の一つだったと信じています。
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