すれ違いざま必ず振り返る、舞妓はん~京都五花街概論~
ふだんの京都、つねひごろの京都を長らく考えているのですが、やはり花まちは知っている限りの範囲でご紹介する必要があるだろうと感じ、筆を進めています。
ただ、私自身、祇園や上七軒の本格的なお茶屋は未だに行ったことがありませんし、舞妓はんや芸妓はんは苦手と感じております。
(広告)花まちと粋
これからご紹介する内容は、ある意味無味でつまらんと思われるかもしれませんが、いわゆる概論としてご承知ください。
今も初詣や何かの折には天神さんにお参りするのですが、帰り道は上七軒を通ることがよくありました。
まだ中学に上がるころだったと思います。天神さんにお参りに行った帰路、おやじとこんな会話を交わしたことを記憶しています。
「この辺は上七軒いうて花まちや、お前はまだわからへんやろけど」
私はふーんでしたが、その後長じて大学に通うころになると、「粋」や「京風情」が漂い、舞妓はんや芸妓はんがいやはる所、いえ、すれ違う所、必ず振り返ってしまう所と感じるようになりました。
粋や風情、今でもまだまだわからないですが。
花まちでテーマ・キーワードになるのは、以前「真意は?京都の風土や京都人の気質を表すことわざ3選」の中で一見さん、お断りをご紹介しましたが、やはり「粋」だと考えています。
数年前になるでしょうか、お茶屋体験という企画があり同僚たちと連れ立って参加しました。
舞妓はんや芸妓はんを間近で見るのは初めてのことで、若干の緊張を覚えたことを記憶しています。もちろん、舞や笛を見るのも初めての経験でした。
「こんぴらふねふね」というお座敷遊びがあるのですが、参加されているお客さんが順に舞妓さんと対決(勝負)するということでした。
舞妓さんは上手でお客さんは勝てないのですが、私はテンポが悪く三味線に合わせたような動きができませんでした。
「あれっ、負けそう」というような雰囲気で、私のぎこちない動きに三味線を弾いている女性(少し年齢を重ねておられる風)が、私が故意にテンポを崩しているとお感じになったのでしょう。「ちょっと」と止めに入られました。
その際、「おたくはん、不粋どずな」という顔で、私は「不粋をやってしもうた」と感じました。
難しいですね、「粋」に遊ぶとは。それゆえに花まちや舞妓はん、芸妓はんは、苦手なのです。
京都五花街とは
それでは、京都五花街概論に入りましょう。教科書的な内容ですが、ざっとご覧いただければいいかと思います。
私は、花まちといいますが、一般的には、花街(かがい)といいます。
京都では、現在は五花街が残っていますが、かつては島原を含めて六花街だったとのことです。
五花街には、祇園甲部、宮川町、先斗町(ぽんとちょう)、上七軒、祇園東になります。上七軒は五花街の中で最も古い歴史があり、天神さん(北野天満宮)の東隣りに位置します。
上七軒以外は、いわゆる祇園界隈に位置し、四条大橋手前が先斗町、橋を渡って南座の界隈に宮川町、八坂神社に向かって少しいくと花見小路がありこの界隈が祇園甲部や祇園東となります。
だいたいこの界隈をぶらぶらしていると、舞妓はんや芸妓はんとすれ違い、振り返ることになります。
ニュースなどでもよく目にするをどりや行事などをいくつかご紹介します。
五花街のをどり
京都検定でもよく出題されます。
都をどり(4/1~30) 祇園甲部歌舞練場にて 祇園甲部歌舞会の主催
鴨川をどり(5/1) 先斗町歌舞練場にて 先斗町歌舞会の主催
京おどり(4月第1土曜日から16日間) 宮川町歌舞練場 宮川町歌舞会の主催
北野をどり(3/25~4/7) 上七軒歌舞練場にて 上七軒歌舞会の主催
祇園をどり(11/1~11/10) 祇園会館(祇園東歌舞練場) 祇園東歌舞会の主催 唯一秋に行われる踊り
行事
八朔(はっさく)
8月1日、芸妓はん、舞妓はんが黒紋付の装いで芸事のおっしょはん(お師匠さん)やお茶屋はんなどに挨拶回りをすることを意味します。
例年、これを見ると、暑いのに大変やなあと思いつつ夏の本番の暑さ到来に覚悟します。
事始め
京舞井上流家元宅に祇園甲部の芸妓はん、舞妓はんが挨拶をし、ご祝儀の舞扇を受けている様子が毎年ニュース等で報じられます。
花簪
季節のうつろいや京風情を感じる趣深い花簪(はなかんざし)をご紹介します。
祇園では、舞妓はんの髪を飾り季節を彩る、月ごとに決まった花簪を髪に挿すならわしがあります。
1月 松竹梅 2月 梅 3月 菜の花 4月 桜 5月 藤 6月 柳
7月 団扇 8月 薄 9月 桔梗 10月 菊 11月 もみじ 12月 まねき
花簪をおまとめになったとても素晴らしい動画がありました。
最後になりますが、現在では全国各地から舞妓はんになろうと京都に来られる方が多いとのことです。
置屋の「おかあはん」の指導を行き届いているのでしょうね、舞妓はんが話す京都弁「いわゆる~どず、~おす、おへん」は極めて流暢です。
時々テレビドラマで聞く京都弁には、「えっ」と耳障りな音がありますが、舞妓はんはネイティブな発音です。
さて、ここまで極めてざっくりした花街概論でしたが、まだまだ奥が深いです。
今は気軽にお茶屋の体験ができるプランも多くありますので、一度花街の雰囲気にふれて見られてはいかがでしょうか。
京都五花街本論は、おおきに財団をご覧ください。
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