小豆を食するということ~京都人が込めた想いや願いとは~
今となってはいつごろからこうした習慣が身についたのか忘れてしまったのですが、毎朝仏壇に手を合わせることにしています。
また、果物やお菓子を買ってきた際には供えるようにしています。
少し線香くさい話とお感じになられるかと思うのですが、ある日仏壇におはぎを備えた際、ふと頭をよぎったのは小豆のことでした。
以前、こんな記事をお示ししました。
つねひごろ、何気なく食している小豆なのですが、古くから魔除けや厄祓いに効があるといわれており、少なからず興味が湧きました。
今回、日常的な存在である小豆に焦点を当て、少し深掘りしてみようと思います。
(広告)小豆とは
原点に戻りますが、小豆とはどのような食物なのでしょうか。
基本的なスタンスとして、大豆などの豆類を摂ることは体に良い、健康食物(食材)であると考えています。
小豆は、マメ科ササゲ族アズキ亜属に属する一年草とのことで、古事記や日本書紀に五穀として登場し、縄文遺跡からも発見されているとのことです。
含まれる栄養としては、たんぱく質、食物繊維、ビタミンB1などのビタミン、カルシウムなどのミネラル、ポリフェノール、サポニンが含まれています。
ポリフェノールは、活性酸素を除去してくれるはたらきが期待でき、ダイエットや美肌などの健康効果があるとされています。
なぜ魔除けや厄祓いになるのか~小豆の秘密は色~
私見ではありますが、魔とは、鬼や怨霊を指すと考えています。
今も継承されていることですが、太古から自然(自然現象、自然が育むもの)に対して、人は畏敬の念をもって、信仰の対象としてきました。
自然が育んだ小豆と秘密の色について、少し目を向けてみましょう。
「赤」色が、極めて重要なキーワードとなります。
赤い太陽、赤い炎、赤い血など赤い色は、「生命」の象徴とされ魔除けの色として邪気を追い払う色彩として重んじられてきました。
それ故に推測ではありますが、小豆の赤い色が、厄を祓い、魔を除けるとされたのではないでしょうか。
小豆を食するという、京都のならわしとは
1月15日(小正月)には、あずのおかいさん(小豆粥)を食する習慣があります。
また、これは京暮らしの知恵と感じているのですが、毎月1日と15日には、あずごはん(小豆ごはん)を食するという習慣が残っています。
これには、家中がまめで暮らせるようにという京都人の願いが込められています。
(広告)さまざまに小豆を食する
おはぎ
おはぎについて、春夏秋冬で季節に分けて呼ぶという、少し豆知識をご紹介します。
おはぎは、春には「ぼたもち」ということがあります。これは、秋は萩の花、春は牡丹の花にちなんでいるとのことです。
また、夏は「夜船」、冬は「北窓」という名前がついています。
夜船には、おはぎはもち米をあまり搗かずにできることから、「いつ着いた(搗いた)かわからない」→「夜の船」という意味があるとのことです。
北窓には、「搗かない」が「月がない」から「月が見えないのは北の窓」という意味があるとのことです。
なかなか小粋な、洒落たネーミングですね。
小豆粥
先に記しましたが、小正月に食します。
小豆の赤色は、邪気を祓う、魔を除ける、厄を祓うということでこの1年を健康で息災に暮らすことができるようにという願いが込められています。
個人的には、先に七草粥もあるものの、やはり正月料理や酒で疲れ気味の胃腸をいたわる、という意図もあったのではと感じています。
ぜんざい
京都では丸餅を食べますが、正月の期間には玄関や炊事場、トイレや風呂など家中のあらゆる所に餅を供えるのですが、こうした餅は後におおむねぜんざいとなります。
水無月
夏を迎える、夏越祓に食べる和菓子です。
あずきバー
小豆がたっぷりと入っていて、固く凍ったあずきバーに噛り付く、ふと思い出した時に買ってしまっているようです。
小豆、いかがだったでしょうか。
今回、多面的に調べ、探り始めるとさらに深掘りできる小豆。
小さなお豆さんには、奥が深い側面がまだまだあると実感しました。
また、現代まで、京都人が小豆に対して込めた想いや願いは、やはり健康であること、家内安全といった安らかに暮らせる日常(つねひごろ)であると心に響きました。
話は、またどうでもいいようなテーマこしあん派?つぶあん派?が再び気になって来ていますが、やはり私はつぶあん派であるということで筆を止めようと思います。
(広告)あんこのおまじない
記事を公開し、後日になって、小豆のことを書いておきながら大事なことを忘れておりました!
追記させていただきます。
小豆の声を聞け、時計に頼るな、目を離すな。
何をしてほしいか小豆が教えてくれる。
食べる人の幸せそうな顔を思い浮かべぇ。
おいしゅうなれ。おいしゅうなれ。おいしゅうなれ。
その気持ちが小豆に乗り移る。
うんとおいしゅうなってくれる。
甘ぇあんこができあがる。