めぐる季節を食から感じる京の食文化~行事に食する料理とは~

京の食文化

京都鴨川夏の風情

永く都が置かれた京都は、緑豊かな山に囲まれ、鴨川など清流が流れ山紫水明の地として、まちではさまざまな文化や芸術が育まれ、現在に至っています。

「食」についても美しくうつろう季節や多彩な要素が盛り込まれ、食文化にまで高められてきました。

その要素として、次の点が挙げられます。

・厳しい気候の下で育った野菜、豊かで良質の

・白味噌、うす口醤油、豆腐、漬け物といった京都独自の味わいを生み出した京都人の味覚

・何度も焼失を繰り返しながらもまちを再興しつづけた町衆の心意気

・天皇を始めとして、公家や武家、僧侶、町衆などさまざまな人たちが暮らし続けてきた中で生まれた多彩な文化(茶の湯、生け花、工芸など)について、京都人が生活文化として接してきた京暮らし

ご参考までに

暦や年中行事に食する行事食

京都には、食文化の特徴としてめぐる季節を食から感じるという習慣があります。

暦や年中行事の際に食する料理で、次に示すような料理について全てを一般家庭が食しているとはいえませんが、商家などで今も脈々と継承されています。

今回、無病息災や家内安全などの願いが込められた行事食に焦点を当て、京の食文化の一端をお伝えできればと思います。

一月

元日

白味噌の雑煮(丸餅)

京風雑煮

おせち(ごまめ、数の子、たたきごぼう、黒豆煮など)

おせち料理

三が日

にらみ鯛(塩焼き)

正月のにらみ鯛

四日(鏡開き)

みず菜や壬生菜の雑煮

七日

七草粥

十五日

あずき粥

小豆粥

二月

節分

塩いわし

※恵方巻は、いつから食べる習慣となったのでしょう?

初午(2月最初の午(うま)の日、2022年は2月10日)

畑菜のからし和え

※京都検定によく出題されます!

京の伝統野菜 畑菜の辛子和え

三月

雛祭り

ばら寿司写真

ばら寿司

赤貝ととり貝のてっぱい(辛子味噌和え)

※京都検定によく出題されます。

五月

端午の節句

ちまき、かしわもち

七月

祇園祭

鱧料理

十月

ゑびす講

笹に小判を模して、青葱とはんぺいの汁物

※京都検定によく出題されます。

十二月

冬至

おかぼ(南瓜)のたいたん

大根焚き 大根

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お決まり料理

毎月決まった日に食べる料理、商家などで継承されてきた生活の知恵とされています。

一日

小豆ごはん(家中がまめでくらせるようにとの願い)

にしんと昆布の煮付け(渋う、こぶ、こぶといくように=倹約して暮らしましょう)

鰊のこんぶ巻き

八の付く日

あらめと油揚げの炊いたん(末広がりの八の日に、よい芽がでるように、病人が出ないように)

十五日

小豆ごはん、いもぼう、なます

月末

おから(包丁を使わずに調理できることから「きらず」とも、縁が切れないように、お金が入るように)

奥深い京の食文化

行事に食する料理をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。調べるほどに、まだまだ奥深い京の食文化です。

歴史と伝統に根ざしたならわしと知恵に基づいた食の文化ともいえる京の食文化ですが、やはり最も大切にされていたのは、食を通じてめぐり来る季節を感じる楽しみではなかったかと今更ながらに考えてしまいます。

スーパーでもお求めいただける食材ですので、一度調理し食してみてはいかがでしょうか。

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