季節のうつろいを色彩で感じる~四神に護られたまち京都から~
ふだんの京都、まちなか京暮らしの中で感じるのは、季節のうつろいでしょうか。
陽ざし、風、花模様、接する空気の感じ、におい、まちの風情、ちょっと散歩に出かけるだけでも日々のうつろいを感じることができます。
先日久々の青天の中、御所から本満寺、賀茂川へとぶらりんしました。
すっかり初夏待ちの風情でしたが、目にする景色をぼんやり考えているうちに、はて?季節を色彩に置き換えてみるとどのようになるのか、ふと脳裏に浮かびました。
以前、「東西南北、四神に護られたまち~まちなかから京都を見渡す~」をご紹介しました。
今回、季節のうつろい、風情、四神を視点にどのような色彩が季節に合致し、まちを織り成しているのか、そこから通じる京都のまちを色彩で捉えるとどのように感じるのかという点について少し探ってみました。
日本人が感じる季節に対する色彩
京都人というより日本人の季節に対する感性から想定できる色彩を選んでみました。
いずれの季節も花模様や自然が醸し出す趣が関わっていると考えられます。
春
あたたかくてやさしい淡い色彩
桜色
菜の花色
若葉色
藤色
夏
爽やかでくっきりと冴えた春より濃い色彩
浅葱色(あさぎ)
萱草色(かんぞういろ)
秋
作物の実りや冬へ移ろう前の切なさを思わせるような色彩
柿色
栗皮色
冬
枯淡の風情と墨絵の時空を感じるような色彩
銀鼠(ぎんねず)
消炭色(けしずみいろ)
※色彩のコンテンツは、原色大辞典を出典として参考にさせていただきました。
四神を基本にした季節と色彩
先ほどもお示ししましたが京都は四神相応の地とされ、風水が深く関係しているといわれています。
風水の基本として、陰陽五行説があります。
陰陽五行説とは
自然界のすべてのものを「陰」と「陽」の二つの相反する要素として捉え、五種類の元素の相互作用により万物が成り立っているという古代中国の思想。
五種類の元素は、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)からなり、それぞれ青・赤・黄・白・黒の五色に対応づけられている。
この陰陽五行説から、四神には季節や方位、色彩についての関係性があるとされています。
冬は黒
玄武は北の守り神で色彩は黒、守る季節は冬(玄冬)
「玄」は黒という意味合いがあります。
春は青
青龍は東の守り神で色彩は青、守る季節は春(青春)
青龍が暖かい東風を運んでくれるという言い伝えがあり、春は東の方位から訪れるとされています。
秋は白
白虎は西の守り神で色彩は白、守る季節は秋(白秋)
秋というと紅葉という連想がありますが、秋は実りの季節で稲を収穫する時節となります。稲から生命の源となる白米になるという繋がりを考えると、秋は白という点にも合点がいきます。
私たち世代では、白秋というと北原白秋と想起しますが、名前の由来はこの五行説の白秋に由来しているともいわれています。
夏は赤
朱雀は南の守り神で色彩は赤、守る季節は夏(朱夏)
都の中央は黄
さらに都の中央(天皇や大内裏・内裏と仮定すると)を付け加えると、その地は麒麟が守り、色彩は黄となります。
平成から令和へと新しい時代が幕開けする際、即位の礼で天皇がお召しになっていた黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)という装束ですが、天皇だけに許された色彩(赤みがかった黄色)からも色彩と天皇の関係が理解できます。
これまで、四季のうつろいを色彩という視点からイメージしてきました。
日本における四季それぞれの色彩を踏まえ、四神相応の地という点と京都の四季との関係について一考してみました。
ただ、秋生まれで秋愁いに傾倒している私には、秋が白というのが未だ少し違うという面持ちを隠せずにいます。
京都は紫(とさせていただきます)
最後となってしまうのですが、四季それぞれの色彩について人それぞれの感性の違いがありますが、季節がうつろうまち京都を色彩でイメージすると?
月並みかもしれないのですが、やはり紫にさせていただきたいと感じています。
すぐにさっと思い浮かぶキーワードとして、
山紫水明、源氏物語の紫、紫野、京都パープルサンガ、そうそう私の母校のスクールカラーも紫でした。
お住まいのまちについて季節と色彩、さまざまに思い浮かべ組み合わせてみてまち歩きを楽しんでみるというのもいかがでしょうか。
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