冬は京都のつけものが格別おいしい!~すぐきと千枚漬け~

すぐき

京つけものがおいしい

霜月も暮れ、師走が近づくと寒さが身に染みるようになります。お鍋に熱燗と体が温まる食べ物に焦がれますが、冬にはこれとは別の味覚があります。すぐきと千枚漬けといった、京つけものです。

京都のごちそうはとたずねられると、つけもの、豆腐、京野菜と答えています。

京都はつけものがおいしく、宝庫であると感じます。

野菜には旬があって、旬野菜で漬け込まれたつけものは格別に美味しいです。冬の代表格のつけものを選ぶとすれば、やはりすぐきと千枚漬けでしょう。

すぐき

すぐきの漬物

すぐきの材料はすぐき菜で、上賀茂(京都市北区)に伝承する在来のかぶの一種です。

起源としては、上賀茂神社の社家(しゃけ:神社に使える氏族やその家)の間で栽培が始まったとされており、江戸時代末期頃から一般の農家でも栽培され、今日へと継承されています。

上賀茂や西賀茂をぶらりんすると、住宅地の中にすぐき菜畑が点在しているのがよくわかります。

すぐき菜

すぐきは、糖度が高いすぐき菜を天秤押し、室入れという特殊な技法により、塩だけで漬け込み乳酸発酵させることにより作られます。

すぐきは、いわば無添加のつけもの=自然食ということになります。

話は少し逸れてしまうのですが、今も上賀茂神社界隈にある、風情を帯びた社家の街並みが残っています。この社家で思い出した、よもやま話を一つ。

京都 上賀茂 社家町

大学職員時代に、部下に実家が上賀茂の社家という方がおられて、なんでも平氏の流れを汲んでおられるとのこと。私は、少し関心があったので、

「お父さんとか、今でもくそっ頼朝!とか思たはる?」と尋ねると

「はい、たぶんそう思っていると思います」

心のうちで、「今でもあんにゃ(あるんや)、なんか深いなあ」と感じたことを記憶しています。決して作り話ではありません。

ところで、すぐきは、独特の風味と乳酸発酵した食べ物が持つ酸味、やや酸っぱいです。

後味には、酸味とほんのりとした野菜の渋みが残ります。

子どもさんは恐らく好かんというかもしれませんが、大人でも好き嫌いが分かれるかもしれません。

三条会商店街でも上賀茂からすぐきを売りに来られているのを時々見かけます。

すぐきは、一房でも結構高く(1,000円ほど)、スーパーではごろっと一房丸ごと売られているすぐきは見たことがありません。

すぐきと葉っぱを細かく刻んだ商品が、お手頃価格として販売されています。

有名なのは、上賀茂神社近くのなり田

千枚漬け

千枚漬け

千枚漬けの材料となる京野菜は、聖護院かぶです。

かぶを薄く切り塩漬けのあと、昆布と唐辛子とともに酢漬けをします。食して分るのですが、この昆布がつけもののおいしさを際立たせています。

第一印象として食してみると千枚漬けは、甘いです。

しっとりとした食感の中に聖護院かぶ本来の甘味が感じられます。また、漬け方が少し浅いとしゃきしゃきした歯ごたえがあり、爽快な味わいを実感できます。

スーパーで販売されているものと老舗で売られているものとの違いですが、もちろんあります。

昆布がしっかりと導き出しているうま味と味のコク、まろやかさが断然違います。

またかぶ1枚に厚みがあり、食べ応えがあります。お値段も少し高めです。

スーパーのものは、薄ぺっらく味もそれなりといえますが、私はこれで十分です。

野菜嫌いなお子さんもたぶんおいしいと口にするでしょう。

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ご参考までに、レシピもありました。

https://cookpad.com/search/%E5%8D%83%E6%9E%9A%E6%BC%AC%20%E4%BA%AC%E9%83%BD

冬の味覚として

いかがでしたでしょうか。

すぐきも千枚漬けも贈答でお送りすると、先さんは大いに喜ばれる、と個人的には思います。

私は、漬け物食いなので、食事には欠くことがありませんが、老舗に足を運んで少し値が張るけれども季節の風味、冬の味覚を堪能してみようと考えています。

冬の味覚、千枚漬けとすぐき、一度食してみられてはいかがでしょうか。  

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