朝と夕におすすめ、打ち水~京都に暮らす知恵と風情~

打ち水

打ち水に爽涼

気象庁が近畿地方の梅雨入りを発表しました。今年も雨の季節がやって来ましたが、平年よりも気温が高く、身に応えるつねひごろです。

私は、毎日いかにしたら涼を取れるかばかりに気を揉んでいて、もちろんテレビがいうようにためらわずエアコンを入れるなり、扇風機を回せばいいのですが、かつて暮らしていた町家での暮らしの知恵を思い出しています。

以前、30代まで西陣の町家長屋で暮らしていました。

西陣の町家といえば、立派な京町家が想起されるでしょうが、私の暮らしていた町家は確かにうなぎの寝床でしたが、職工さんの住まい造りだったようで、それはそれは質素なものでした。

2階は中二階と呼ばれる天井の低い部屋が二間続きであり、隣は物置のような空間で虫籠窓(むしこまど)がありました。

この2階がともかく暑いのです。夏の真っ盛りには、到底寝られたものではありませんでした。

思い出すと当時の生活が思い出され懐かしく感じるのですが、あの2階の暑さはどうも身が覚えているようで、今でさえもげんなりしてしまいます。

当時の涼を考える中、1枚の写真を見る機会がありました。

おばあさん、小さな子どもを抱いているおふくろが玄関前に床几を出して座っている様子が写っていました。

おばあさんは、私が幼いころにいっしょに暮らしていた父方の祖母なのですが、

ああ、ばあちゃんいやはったなぐらいで記憶はかなり薄いです。

おふくろが抱いている子どもは私で、この写真について

夏は暑かったから、どこの家も床几出してお隣さんもお向かいさんもみんなで涼んでいたとのことでした。

今はご近所さんといえども疎遠というか、お互い距離を取って他人に干渉するようなことがおおよそなくなりましたから、写真から伝わるその当時はまだまだ人のつながりがあって、温かい関係が存在していたと感じられます。

(広告)

床几で涼む、京風情

床几というと、木製で横長の折り畳み式の腰掛とでもいう座具ですが、大きな商家の京町家には「ばったり床几」というものがあって、これもお客さんに一服していただく腰掛だったとのことです。

床几で涼むのも町家の知恵の一つですが、思い出すのが打ち水です。

町家は玄関から奥の庭まで「とおりにわ」が続いているので風通しがいいのです。

どこの家も朝と夕方に打ち水をして、冷えた空気を家に取り込んでそよ風を家の中に招き入れるというようなことをしていました。これも昔から受け継がれている暮らしの知恵です。

その後西陣を離れましたが、今でも打ち水されてんにゃろなと思います。

暮らしの知恵だけでなく、京都らしい風情も感じられる打ち水、もう一度見直してみようと感じています。

(爽涼セット)

(広告) (広告)

床几の代わりに

(広告)