安産・子授けの神「わら天神宮」~参拝で感じる親の愛~
春は入園や入学、就職など、子どもの成長を実感する節目の時期。
制服を来て式に臨む我が子の育った姿に、ほろりと涙をこぼす方もいらっしゃるかもしれません。
(広告)安産のご利益で有名な神社「わら天神宮」
今回ご紹介する「わら天神宮」は、そんな親から子への愛を見守ってきた神社の代表格。
正式名称は「敷地神社」といい、ご利益は安産や子授け、縁結びとされています。
今でも休日となれば、境内には夫婦や妊婦、子連れの家族の姿が多数。
「梅宮大社」や「岡崎神社」と並ぶ、京都でも名高い安産祈願の神社です。
「母は強し」を体現した女神
わら天神宮のご祭神「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」は、天孫降臨を行った「邇邇芸命(ににぎのみこと)」の妻である女神。
彼女は一夜にして子を身籠ったことから、邇邇芸命に「別の神の子ではないか」とあらぬ疑いをかけられます。
けれどそこからが、木花開耶姫命の女神たるところ。
木花開耶姫命はその疑いを晴らすべく、「あなたの子であるなら何があっても無事に産まれるはずだ」と誓約をし、産屋に火を放ちます。
その後、火に包まれながらも無事に子どもが産まれたことにより、彼女の疑いは晴れたのだそう。
なんとも強烈なエピソードですが、やはり母は強しということでしょうか。
そしてこの逸話により、木花開耶姫命は安産や子授けの神として祀られるようになったと伝わっています。
(広告)安産祈願に訪れる母親たちの愛
先にも述べたようにわら天神宮は、京都の地で長く信仰されてきた安産の神。
京都に縁ある家庭の生まれなら、両親や祖父母が安産祈願に訪れた……という方も少なくありません。
何を隠そう、この記事を書く私自身もその中の1人。
母は私を身籠ったとき、義母と一緒に安産祈願を行ったのだと、いつか家族でわら天神宮を訪れた際に話していました。
母の話を聞いてから、私のわら天神宮に対する認識は一変。
それからこの神社が話題に上るたび、なんとも不思議な気持ちになります。
──まだ母のお腹にいた頃の私が、すでにこの場所を詣でていた──
京都には両親や祖父母より、そのように聞かされた子どものなんと多いこと。
それだけたくさんの子どもたちが、親から愛ある祈りを捧げられてきたのですね。
春夏秋冬の運勢が記されたおみくじ
参拝にあわせて、おみくじを引いてみました。
結果は1番、大吉。縁起のいい数字と運勢です。
わら天神宮のおみくじは京都でも珍しい、春夏秋冬それぞれの運勢が記されたもの。
まるで、長い目で我が子の成長を見守ることが大事なのだと、女神から諭されているかのようです。
(広告)親から子へ、わら天神宮に続いてきた愛の歴史
……無事に生まれてきますように。
健康に育ちますように。
幸せな人生を送ることができますように──。
この神社を訪れた多くの親たちは、そうやって我が子の誕生や成長を祈ってきました。
そして大人になった子どもたちも、いつかパートナーと出会い、かつて親が願ったものと同じ祈りを捧げるようになるのかもしれません。
今もなお根強い信仰を集め、京都の親と子を見守るわら天神宮の歴史。
それはつまり、遥か昔より親から子への祈りが紡がれてきたという、愛の歴史でもあるはずです。
わら天神宮(敷地神社)
〒603-8375 京都府京都市北区衣笠天神森町10