十三まいり~渡月橋を渡りきるまで決して振り向かない~

とかく、振り向いたらあかんのです。どのように声をかけられようとも、後ろの様子が気になっても。

これは、「十三まいり」といって京都のならわしのひとつです。

私は、連れてもらった記憶がありませんが、春が近づくと嵐山にある虚空蔵法輪寺を訪れる親子の姿をよく見かけます。

このまちの子供は、数え歳十三になると、「嵯峨の虚空蔵さん」として知られる法輪寺に智恵と福徳を授かるために参詣します。

これを「十三まいり」というのですが、本堂でご祈祷を受けると「大人の智恵」が授かるといわれています。

ちょうど2年前の春が深まるころでしょうか、彼岸桜が咲きほこる中、たまたま法輪寺へと足を運びました。春休みとも重なり、多くの人出で賑わっていました。

境内では、制服姿やきちんと着物を身につけた参詣の子供たちと親御さんを多く見かけました。

ああ、十三まいりやとすぐにわかりましたが、「これからがんばりや」と子供たちに一声かけたくなったことを記憶しています。

どころで、タイトルの「振り向かない」です。

智恵を授かった子供たちですが、帰りは必ず渡月橋を渡ります。

これが大切なポイントなのですが、渡り始めてから渡り終わるまで決して振り向いてはいけないのです。

というのも、振り向いてしまうと授かった智恵を返してしまう(逃げてしまう)ことになるとされているからです。

親御さんたちは、後ろからわざと声をかけたりして気を引こうとしますが、ここはこらえどころ。

子供たちは、絶対に振り向かないのです。えらいでしょう。

ブレザーを着こなした男の子も着物で着飾った女の子も、神妙な顔をして渡月橋を渡る様子は、ほほえましくもありエールを送りたくもなります。

これから、勉強やスポーツ、あらゆることに挑戦していくのでしょうね。

大学職員時代、希望を胸に秘めた新入生を何度も見てきましたが、新入生のキラキラした眼と渡月橋を渡る子供たちの眼差しが同じキラキラとした輝きであることを感じました。

若いって、いいなぁです。

十三歳、当時の私は、何を考えていたのでしょうね。遥か遠い日々ですが、詰襟の学生服を着て襟には校章をつけて中学校へ通うことがうれしかったことをぼんやりと覚えています。