アフターコロナ、京都はどこへ向かう?~観光と暮らしの両立~
インフルエンザの検査・治療体制レベルの確立
2022年初夏の候。
2020年初頭より始まった新型コロナウイルスの広がりは、ワクチン接種や治療薬の登場により、現状として感染者は減少し、外国人観光客の受入れも始まりました。
まだアフターコロナといえるような好況ではありませんが、願いとしてインフルエンザの検査・治療体制にまで漕ぎつけるようなレベルに到達することが望ましいと考えています。
要は、かかりつけのお医者さんに診察していただき、検査をして陽性ならお薬を処方していただき、一定期間は外出せず、種々の症状がおさまるまで家で安静にしている、このような検査・治療インフラともいえる体制が一般化するとコロナに対する不安も大きく減少するでしょう。
つまり、かかりつけのお医者さんで処方されることができる治療薬が早く登場することに期待が寄せられるといっても過言ではないと考えています。
(広告)アフターコロナ、オーバーツーリズムは再来するか?
先にもお示ししましたが、政府は海外からの外国人観光客の受け入れを開始すると発表しました。
このニュースに接した際、長く待たされ続けた観光業の方たちは朗報とお感じになったでしょうし、やっと仕事ができると喜ばれたと思います。
国際観光都市京都への復権に兆しが見え始めた、と私も嬉しく感じたのですが、ふと頭をよぎったは、コロナ前(ビフォーコロナ)のまちの様相と暮らしに戻ることになるのだろうかと少し嫌な感覚を持ったことでした。
つまり、いわゆるオーバーツーリズムの再来です。
交通機能のマヒやまちの暮らしへの影響が再び生じるのではないかという不安と懸念です。
外国人だけでなく国内の方たちが京都を訪れたい。
桜を観たい、紅葉を観たい、京料理を食べたい、まちを散策したい、着物も着てみたい、そこには京都を訪れる方たちのさまざまな想いがあって、京都に住まうものとしても歓迎ですし、世界的に京都の評価が高まることで経済的な側面や雇用における側面からは非常に有益なことだと感じています。
けれども、ビフォーコロナの際、観光地の驚くべき人の波、隠れ名所と称してこんなとこまで来るか?と若干の訝しさも手伝って、観光の分散とマナー啓発の点においてどうもすっきりしないと我知らず感じている点もあります。
加えて、まちの人たちにとっては、「桜と紅葉は、嵐山やら清水さん界隈は行かんとこ」となって、果たしてあの混雑の中に訪れておられる方たちも本意でない観光をされているような気がしてならないのです。
(広告)観光庁と京都市の動向
そこで、今回政府と京都市がオーバーツーリズムに対してどのような施策を打とうとしているのか少し調べてみました。
政府(観光庁)はどう考えている?
・「持続可能な観光先進国に向けて」(2019年6月10日 持続可能な観光推進本部)によると、2018年6月18日に持続可能な観光推進本部を設置。
・「持続可能な観光」を推進するべく、オーバーツーリズムについて、地方自治体へのアンケート調査やヒアリングを行い、海外の事例にも着目しながら、増加する観光客と地域住民の生活環境の調和を図る。
スペインバルセロナの事例
・2016年より歴史地区内での観光客向けの新しい商業施設やホテルなどの禁止。
・旅行者の流動性や分散化策の検討等を専門的に行うバルセロナ観光観測所の設立。
・サグラダ・ファミリアにおける事前予約制導入、グエル公園における時間ごとの人数制限の設定。
イタリアヴェネチィアの事例
・旅行者に人気のある地区へのアクセスに予約制を導入。
・#EnjoyRespectVeneziaというキャンペーンを実施し、責任ある観光を旅行者に啓発。
京都市はどう考えている?
京都市観光協会の動向から見ると
最終的に目指す地点として
・「混雑状況に不満」と回答する観光客の減少
・「市民にとって暮らしやすい観光地である」と回答する市民の増加
・京都観光にとっての望ましい賑わい状況を規定する
具体的な取り組みとして
・観光快適度の可視化
京都観光オフィシャルサイト「京都観光Navi」において、AI(人工知能)を活用して観光快適度を予測した情報発信を行い、京都市全域単位では半年先までの情報を日次で予測。
春・秋の人気シーズンには、「嵯峨・嵐山エリア」「祗園・清水エリア」「伏見エリア」内の観光スポットにおける時間帯別までの細かい情報を掲載。
・マナー啓発
外国人観光客向けのリーフレット「AKIMAHEN」の配布。
隠れた名所の活用等による分散化事業。
オーバーツーリズムについて一考
オーバーリズムに対する行政の施策の一端を垣間見ましたが、ビフォーコロナと状況が変わらず、再来ということであれは、政治的な施策に対する不信感が募ることになります。
私も突飛でもないような対策を少し考えてみました。
・課税はやめた方がいい。京都市が行っている宿泊税は、何に使っているかの明示が必要で、安易にお寺さんや神社を課税の対象と考え始めると、かつての古都税(古都保存協力税)の二の舞になる。
・市内に入る車両数を制限し自転車の活用、地下鉄といった公共交通の利用を促す。
歩くことも極めて大切。
・観光掲示板で各所の混雑状況、渋滞情報(バス停に情報掲示板を設置する)
・スマホなどの電子媒体をご利用にならない方への周知方法の検討が必要。
・桜(春)、秋(紅葉)の時期は、観光地状況を伝えるサポーターをまちなか至るところに配置し、緊密な連絡体制の下、混雑していない観光地を案内するなどの観光の分散化への誘導。
・隠れた名所という言葉は魅惑的で観光客が集中する可能性もあり、周辺住民の暮らしについてさらに留意する必要がある点を認識。
京都には多くの観光資源があり、このまちの経済や雇用に大きな影響を与え、まちを潤してきたことは事実です。
また、京都に触れたいとお感じになられておられる国内外の方たちをおもてなしすることで、京都の良さを味わっていただきたいという想いも真実です。
端的に明快な答えを導くことは難しいのですが、いずれ通り過ぎていくアフターコロナに対して、観光とまちの暮らしの両立として伝えるべきこととしては、分散化観光の推進とマナー啓発だと個人的には考えています。
これから京都に向けて観光旅行をお考えになっている方、移住未満の京暮らし(京暮らしに触れるための長期滞在)をお考えになっている方のご意見もお聞きしたいと感じています。
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