祭りのごちそう鯖寿司、かつて鯖街道で運ばれた貴重な食材

京都の鯖寿司

京都の祭りというと、葵祭や祇園祭、時代祭といった全国的に有名で大掛かりな祭りが想起される方も多いと思いますが、お話ししようと思っている祭りはかつて今宮さん(今宮神社)の氏子であった時の今宮祭、現在氏子である天神さん(北野天満宮)のずいき祭りを指しています。

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祭りのごちそう、鯖寿司

以前に今宮祭の際には、おふくろが作ったばら寿司がごちそうであったことを記しましたが、確か鯖寿司もごちそうであったと記憶しています。

京都には、舞鶴や宮津など海に面したまちがありますが、京都市内は山に囲まれた盆地のため海には臨んでいません。

豊かな水資源に恵まれ、上質な酒や種類豊富な野菜を手にすることは容易でしたが、鉄道や自動車が普及する以前の時代には、京都で魚介を一般的に手に入れるのは難しかったのではと考えています。

出町柳(鴨川と高野川が合流する地点)近く、出町橋西詰に鯖街道口の石票がありますが、ここが若狭の小浜を出発地としての終着地となります。

若狭湾で取れた鯖は、行商人に担がれて徒歩で京都に運ばれました。

こう考えると、鯖は貴重な食品だったのだと感じられますし、祭りのごちそうであったことも納得がいきます。

鯖寿司は、ひと塩の鯖を三枚におろし、小骨を抜いてから酢でしめ、寿司飯の上に乗せて竹の皮で包んだ棒寿司です。鯖の上に薄い白板昆布を乗せるものもあります。

長い歴史を持つまちなかの祭りでは、鯖街道にて届けられた貴重な鯖を鯖寿司とし、祭りのごちそうとしてまちの人たちは食べていたのでしょう。

そう考えると、鯖寿司に敬意を払う(現在では、リスペクトするというのでしょうか)という気持ちが高まります。

たかが・・・、などという感覚は今を生きる私たちの思い上がりです。

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鯖寿司の思い出として、今となっては思い出せないのですが、現在の北野商店街に位置するところ(下ノ森界隈)に絶品ともいうべき鯖寿司を売っているお店がありました。

そのお店の名前も忘れてしまいましたが、私が中学生ぐらいでしたでしょうか、おやじと天神さんに行った帰りか何かでたまたまそのお店に立ち寄ったのです。

お値段もそこそこいいお値段でしたが、鯖の肉厚が驚くほどで、おやじが一度お試しに買うて帰ろとなり帰宅してすぐに食したのです。

鯖の厚み、酢と塩の絶妙なバランス、酢めしのおいしさが整っていて、これはうまい!となりました。もちろん、おやじも絶賛していました。

少し話がそれて余談となるのですが、そのお店のおやじさんの親指がとても大きかったのを覚えています。

「さっきのおっさんの親指見たか?」

「見た見た、えらいごっつい(大きい)指やったなあ、びっくりした」

何度となくそのお店へ鯖寿司を買いに行ったのですが、鯖の厚みのすごさとおやじさんのごっつい親指も見に行っていたように感じています。

残念なのですが、そのお店今はもうありません。

梅雨が明けたら祇園祭、秋にはずいき祭り。ごちそうの鯖寿司を食べようと今から思っています。