どの世代からも選ばれなくなる?~京都の憂鬱は解消できるか?~

京都市全景

人口減少は、衰退し始めたまち?

先日ぼんやりテレビを見ていると、人口減少数ワースト1位は京都市と報じていました。少し驚きがあって、新聞やネットで調べてみると紛れもなく京都市が最も人口減少数が多い都市(約12,000人)であるという真実が確認できました。

京都市の推計では、2035年には130万人(現在約145万人)を割り込むとの試算も出ています。

観光以上移住未満のまちと感じつつも、まちの文化やならわし、住居費のことなど京都移住に対して踏み込み、決意することは難しいと感じますが、京都移住をおススメするという想いからは「なんで人口減少が1位なん?」と感じざるを得ませんでした。

この現状、少し憂鬱なのですが、つねひごろの暮らしからも京都というまちは調べてみるとさまざまに憂鬱を抱えている点が少しづつ浮き彫りになってきました。

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子育て世代がそっぽを向く

子育て世代や若い世代がまちから流出している割合が大きいのです。

端的にいうと、暮らしにくいんですね。

最大の要因は、まちなかでマンションや一戸建てを買うことが難しい点行政の生活や子育て支援が十分ではなく薄っぺらいことです。

コロナの渦中でも、いずれ訪れるであろう外国人観光客や国内観光客を見込んで次から次へとホテル、さらに外資系資本による超高級ホテルが建設されました。

これは地価高騰を招き、この余波でしょうか、大きな影響としてまちなかで家など買えない状況となりました。5,000万円を超えるマンションなどざらですからね。

魅力はあるけれども、子育て世代がさいならを告げるまち

京都 雨宝院 

京都というまちは、国際文化観光都市「京都」というブランド力が極めて高く、多くの国内外富裕層にとって憧れの地といえそうです。

アメリカの人気旅行誌「コンデナスト・トラベラー(Condé Nast Traveler)」の、世界で最も魅力的な都市を決める「Best Big Cities in the World」において、京都市が世界1位に選ばれている(2020年10月)とのことです。

公表された都道府県魅力度ランキング2022でも、第2位を維持し続けていますが、魅力はあるけど人が去るまち、なんともアイロニーと感じざるを得ません。

世界の方々からこのまちを憧れ、注目されるのは、京都人のひとりとしてもありがたいことだと感じるのですが、富裕層ではなく市井の人たちの暮らしはどうなってんねん、と小言のひとつもふたつもみっつもいいたくなります。

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あぐらかくな、京都市役所!

まちの行政をあずかる京都市役所の政策の方向性、仕事ぶりに問題ありと見ています。

先にも示しましたが、国際文化観光都市、千年の都、確かに京都は魅力あるまちだと感じています。

しかしながら、京都にはいわずと知れた憂鬱が存在するのです。

京都市役所は京都という美しいまちの伝統と文化、自然に対する未来へ持続するための指標を見いだせず、この高飛車な地方自治体はあぐらをかいています。

ひとつご近所さんの例をご紹介しましょう。

聚楽保育所という、古くからある公立の保育所なのですが、保育士さんたちスタッフの方々の手厚い支援があり、まちなかでも人気の保育所でした。

子どもさんの減少と保育所の運営が困難とのことで、民営の道も閉ざされ結局、市は閉鎖としました。

これには、相当な反発と反対がありましたが、廃止で帰結と京都市は強硬したようなものです。

これは一例ですが、行政のこのような対応・政策では、このまちにはおられんと他のまちに行こうと考えるでしょう。

多大な借金苦

起業の破産にあたる「財政再生団体」への転落を免れたと発表していますが、依然として赤字は続いています。

地下鉄や市バスの敬老パスの対象年齢引き上げや公共施設の料金を引き上げるという改革?これは住民サービスの質的低下、市民に対しての経済的しわ寄せです。

二条城へ入るのに、1,300円とは高すぎませんか?

深刻な人口減少

先にもお示ししました子育て世代、若者世代の市外への流出です。

本気で移住を推進しているか

「京都市移住サポートセンター『住むなら京都(みやこ)』」において、移住相談窓口を設置としていますが、積極的支援が見当たりません。

意識改革の必要性と提案

京都の憂鬱を調べている途中で、こんなことを示されている方も目につきました。

住宅不足の解消のため、高さ制限を撤廃し、タワーマンションをどんどん建設する。

まちなかに高速道路がない。

こうしたご意見には、このまちをどう考えているのだろうと懐疑的になってしまいます。

東京や大阪のようなまちという方向に京都も向かえばいいとのことでしょうか。

全く必要なしです。東京や大阪の複製的なまちを作ってどうする気なのでしょうか。

さて、市政や京都というまちを錯覚されている方に文句ばかり百曼陀羅並べても建設的ではありませんし、京都人の一人としても考え直すことも多々あり反省もすべきであると感じています。

最後に私的な提案を示して筆を置くことにします。

まず、私たちの京都に対する意識を変えることが必要だと考えます。

行政も市民もお寺さんも大学も、他の市町村に優越しているという錯覚、京都は特別という意識を捨て去らねばなりません。

もう、そんな怪しげな意識は時代遅れだと認識するのです。

観光資源が豊富という点で国際観光文化都市であり続けるべきですが、国内外のあらゆる世代の人たちから賞賛されるまちに進化していくことが必要です。

若い世代や子育て世代に、医療や教育、住まいに対する大胆な経済的な支援や補助をするべきです。

京町家の軒先と朝顔

また、空き家となっている京町家を活用し、リホームすることで住まいを提供しローン補助などの支援をすることが必要です。

もちろん赤字の中での財源捻出は困難ですが、京都だからこそできる産官学民の密接な連携で新たなプロジェクトの創出や京都スタンダードの発出や市場が開拓できるはずです。

同志社大学

もうひとつ、京都は大学のまちでもあります。

学生だけでなく社会人、定年を迎えた方などさまざまな世代に「学び」や「学び直し」の機会を提供し、生涯学習やリカレント教育を強く推し進めることです。

大学での社会人講義のイメージ

また、先進的な企業が集積するまちですので、リスキリングも視野にいれた「学び」の拠点化を京都は担うことができると考えられます。

これは全くの個人的な感想でしかありませんが、朝ドラの「カムカムエブリバディ」や「ミヤコが京都にやって来た!」といったテレビドラマで映し出された京都のまち、「やっぱり、ええまちやなあ」と思いませんか。

京都鴨川の朝
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